海外支局のリソースに限界がある中、「ヨコタテ」になるのはやむを得ないが・・・(写真:AP/アフロ)

 日系メディアが海外のニュースを報じる際に、「ヨコタテ」という言葉があるということは以前の拙稿で書いた。海外支局はリソースに限りがあるため、駐在員が重要だと考えた地元メディアの報道を訳して丸めて報じる慣習を指した言葉とのことだ。いわゆる転電のようなものだろうが、引用元のメディアを明記していない場合もあるようだ。

 ただ、ヨコ(英語)をタテ(日本語)にする場合も、実際に海外メディアが報じた内容をきちんと理解し、正確に訳したうえで報じるべきではないだろうか。そう感じたのは、12月9日に公開された産経新聞電子版の記事「最高裁もトランプ氏側退け、米大統領選訴えで初判断」を見たからだ。

 この記事は共同通信の記事をそのまま転載したもので転電の転電だが、これは主要紙をしっかりと訳していないように思われる。つまり「ヨコタテ」の任務を怠ったとの印象を受けるのだ。

 米大統領選挙は、日本のどの選挙とも異なる複雑な仕組みがある。歴史的にも様々なエピソードがあるため、日本の米政治専門家でもほとんど取り上げてこなかった。それは、今回の大統領選における日本の報道状況を見ていてもわかる。しかし、日本人になじみのないものであれば、徹底的に当該国の主要メディアを読み込んだうえで、正しい報道をすることが重要なのではないだろうか。

 比較のために、米ワシントンポストの「Supreme Court denies Trump allies’ bid to overturn Pennsylvania election results」を見てみよう(有料記事のためリンクは貼っていない)。