利回りが高く、将来性のある銘柄を選びたい
ここからは、銘柄選定の方法について考えたいと思います。
今までは配当金の利回りについて話してきましたが、直近の配当金が高いからといって飛びついて、株価が大きく値下がりして痛い目に合い、損をすることもあるのが株式投資です。
配当金で吸収できないほど株価が低迷してしまうのは、投資する人がその企業の将来性を見誤った時に起きることです。逆に、将来性のある事業を手掛け、かつ安定的に配当を出している企業を見つけることができれば、その投資は成功の可能性が高まります。
では、そんな成長力のある高配当の銘柄を探すには、何に注意すればいいのでしょうか?
どの企業の株式も値動きがあるので、どうせ買うなら安い時に買った方がいいに決まっています。配当狙いで株式を買ったら、高値の時に買ったために大きく値下がりしてしまい、結局損切りした、という失敗も株式投資にはつきものです。私も値下がりしたまま放置(塩漬け)して、値上がりを待つ株式もあります。塩漬けですめばまだましで、中には上場廃止となって価値がほぼゼロになった銘柄もありました。今思えば勉強不足でした。
株価と利回りの関係を、数字で見てみましょう。たとえば、1株当たりで年30円の配当を出す企業の株式を、1200円で買うと利回りは2.5%。しかし配当が同額で、800円で買えることができたら、利回りは3.7%に上がります。株価が安ければ、利回りも高くなるということです。
PERとPBRで株価が割安かどうかを判断
現在の株価が割安か割高かをみる指標として、「PER」(株価収益率)や「PBR」(株価純資産倍率)があります。
PERは、企業が1年で上げた利益を株式の発行数で割った「1株当たり純利益」を分母、株価を分子とした数値で、PERの数値が小さいほど、株価は割安とみなされます。PERはよく同業他社の間で比較され、低いほど割安株という判断になります。また、成長が期待される企業はPERが高くなりやすいようです。
PBRは、企業の利益ではなく資産、つまりは企業そのものの価値に着目した指標です。企業の資産価値(解散価値とも呼ばれます)を株式の発行数で割った「1株当たり純資産」が分母で、株価が分子です。PBRの数値もPERと同様に、小さいほど株価は割安だと判断できます。
PBRが1倍以下だと、株価が1株当たり純資産に近づいたということであり、その企業の株価と資産価値が同水準にあるということになります。ただし、PBRがあまりにも低すぎる場合は倒産リスクが高まるといわれます。注意しましょう。
株価チャートが動いても焦らず、待ってみる
株価のチャート、配当金の額や利回り、PERやPBRなどの指標は、証券会社などのサイトで検索できます。これらの指標を参考に銘柄を選べばいいのですが、実際の株式投資は、過去の指標だけで決まるような単純なものではないのも承知ください。
当初は配当金狙いのはずだったのに、値上がりを続ける株価チャートを見ていたら、値上がり益の誘惑にかられて同じ銘柄を買い続けてしまい、やがて大きく値下がりして損が膨らんでしまった、など普通にあることです。投資信託などと違って、個別の銘柄に投資をするわけですから、どうしても目先の株価の動きが気になってしまい、日々の株価のチェック回数が増えていきます。毎日株価を見るたびに欲望がかき立てられ、心が大きくなり、待てばいいのに待ちきれず、さらなる値上がりを期待して、結果的に高値で買ってしまった。私もよくあります。
「焦らない、あわてない、待ってみる」
株式を購入するときは、ぜひこれを肝に銘じてくださいね。株式投資では、マイナス50%以上の損失も普通にありますので。
そして、配当金が出たら、現金配当は別口座に移しておきましょう。口座を一緒にすると、いくらの儲け(利回り)が出たかわかりにくくなってしまいます。ここは厳格にしてください。
次回は、ランキングの番外編として⑥確定拠出年金、⑦外貨建て終身保険や⑧金について考えていきます。