(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)
競泳で唯一、東京オリンピック代表が内定していた瀬戸大也の不倫問題で、日本水泳連盟は処分を下した。13日に臨時の常務理事会を開き決定している。
年内の活動停止――。スポーツマンシップに反したこと、日本水連など関係団体の名誉を著しく傷つけたことが、「競技者資格規則」に違反したとされた。
これで年内の日本水泳連盟の公式大会への出場、強化合宿、海外遠征への参加ができなくなる。出場を検討していたとされる10〜11月の競泳国際リーグ(ブダペスト)、12月の日本選手権は出場できない。
また、スポーツ振興基金助成金の今年下半期の推薦も停止。日本水泳連盟と日本オリンピック委員会(JOC)の教育プログラムを受講する。
国際競技の現場では選手に大量のコンドームが配られているのだが
瀬戸は、平日の昼下がり、都内の自宅から高級外車で近くのコンビニエンスストアまで移動すると、そこで女性と合流。そのままラブホテルに直行してふたりで過ごすと、またもとのコンビニで別れて帰宅。すぐに国産車に乗り換えると、ふたりの子どもを迎えに保育園に向かった。その一部始終が写真付きで先月、週刊誌で報じられていた。瀬戸は2017年に飛び込み選手だったいまの夫人と結婚している。ホテルに入ったのは、それとは別の女性だ。
これがきっかけで、ANAの所属契約が解除。夫婦で出演していた「味の素」の広告出演契約も解除された。
サポート企業は、何よりも選手や対象者のイメージを重視する。その対応は当然だろう。だが、騒動の余波はそれだけでは済まなかった。瀬戸自身から日本オリンピック委員会「シンボルアスリート」と、東京五輪競泳日本代表主将の辞退を申し入れ、了承されている。
それでも、今回の処分でも、昨夏の世界選手権で金メダルを獲得して内定した、東京オリンピック代表は維持された。
とはいえ、この時期の活動停止の処分や経済的な損失の痛手は大きい。無論、練習は続けられるが、その場所を確保できるのかも疑問だ。肉体的にも、精神的にも、来年に延期された東京オリンピックで金メダルを期待できるだけのコンディションを維持できるのだろうか。艶めかしい不倫現場を報じられて、裸で競技する選手に応援が集まるだろうか。
かく言う私も、高校時代には水泳で全国高校総体や国民体育大会の出場経験がある。まったく競泳と疎遠でもない。それだけに残念だ。