また、消費の場がネットにシフトしているのがより鮮明にわかるのが、「ネットショッピング利用世帯の割合」(図2)だ。

 3月から増加に転じた利用世帯割合は、4月に大きく上昇して過去最高の47.3%を記録した。年末商戦でもない4月に利用世帯が急増するのは極めて異例だ。そして5月には一段と上昇し、調査以来初めて50%を超えた(50.4%)。国内の半分以上の世帯がネットショッピングを利用したということだ。

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 さらに、緊急事態宣言が全面的に解除された後も、6月、7月と利用世帯の割合は50%を超える水準を維持しており、消費の場がネットにシフトしているのが“一過性”ではないことは明らかだ。

 中でも特徴的なのは、「65歳以上の世帯のネットショッピング利用割合」(図3)である。

 一般的に高齢者はネット利用に消極的な傾向があり、従来からネットショッピングの利用割合も伸び悩んでいた。ところが、新型コロナ禍の中にあって3月から利用割合が急増し、5月以降も他の年齢階級とは異なり、30%を超える利用割合が増加傾向で続いている。

 今や高齢者世帯でも3割以上がネットショッピングを利用している点は、高齢者にもネットショッピングが根付いていることの表れでもあろう。

商品では「食料品」「出前」が急増

 消費者の意識が消費の場を店舗からネットにシフトさせたことにより、同時にネットショッピングで買われる商品にも変化が表れている。そこで、いくつか特徴的なものを取り上げてみよう。

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