「新しい生活様式」の実践企業事例

 政府は、職場においても事業者と労働者が一体となって、「新しい生活様式」の実践・定着に取り組むよう求めている。経団連も5月15日、厚生労働省からの依頼を受けて、参加団体・企業に従業員への周知徹底を促す通知を出した。企業の現場では、実際にどのような取り組みが行われているのだろうか。実践企業例を2つ紹介したい。

(1)田辺三菱製薬の「働き方カエル宣言」
田辺三菱製薬株式会社は6月22日、新しい生活様式に則した新しい働き方を実現するために「働き方カエル宣言」を発表した。同社では、緊急事態宣言の発出に伴う在宅勤務下で、毎週金曜に「Friday Survey」と呼ばれる従業員意識調査を計7回実施。調査の結果、新しい働き方に対するさまざまな意見や改善に向けた提案が寄せられたという。その結果を受け、特に要望の多い7つの項目に取り組む「働き方カエル宣言」を策定した。

【1】感染予防策の徹底
【2】会議の見直し
【3】脱ハンコ
【4】ペーパーワークの大削減
【5】拠点のサテライトオフィス化
【6】テレワーク環境の整備
【7】Friday Surveyの継続

 同社は新しい生活様式を踏まえ、より働きやすい職場環境づくりを目指すとしている。

(2)面白法人カヤックの「NO密オフィス」
「新しい生活様式」を踏まえながら、オフィスで仲間と一緒に楽しく働けないかという思いを形にしたのが面白法人カヤックだ。神奈川県鎌倉市内にある本社オフィスを改装し、3密回避を考えた「NO密オフィス」を実現した。

 デスクのレイアウトは、横並びから個別に離れて座れるように変更。会議室では人と人とが向かい合わず、鏡を設置した壁を向いて従業員がオンライン会議を行っている。また、階段は人が行き交わないように登り専用と下り専用に分けるなどの工夫を取り入れ、社員の不安軽減に努めた。緊急事態宣言下で9割がリモートワークだった社員も、改装後の6月1日から順次出社している。

 従業員を新型コロナウイルスから守るためには、企業の感染防止策の実行が欠かせない。社内で対策を講じるうえで一つの指針となるのが、「新しい生活様式」だ。Withコロナ/Afterコロナに適応する職場環境づくりに向けて、社内で今一度「新しい生活様式」の実践例をチェックしてみてはいかがだろうか。

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HRプロ編集部

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