同様のことは、多少の時間のずれはあるにせよ、世界各地で生じました。
西ヨーロッパでも、自動車、アイロン、電気掃除機、冷蔵庫などが購入されるようになります。家のスペースは拡大します。ローンのおかげで、持ち家の購入はずいぶんと楽になります。
戦後、それも1980年頃になると、アメリカと西ヨーロッパの耐久消費財の普及度はほとんど変わらなくなりました。西ヨーロッパでも、アメリカと同様、高度消費社会が生まれたのです。
もちろん日本も同じでした。
【図1】は、日本の耐久消費財の普及を表したものです。洗濯機や冷蔵庫、テレビ、乗用車、エアコンなどの耐久消費財(三種の神器や新三種の神器)が、短期間のうちに各家庭に普及したことがわかります。この「消費革命」によって、日本社会もあっという間に大衆消費社会になったのです。
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不平等な社会の誕生
1980年ごろまでには、少なくとも先進国では耐久消費財が社会にいきわたり、人々は豊かになっていました。
ところが現在、世界を見渡すと、富はほんの一部の人に集中するようになっています。中国、ヨーロッパ、アメリカを合計すると、トップの10%がすべての富の70%を保有しています。底辺の50%は2%未満の所有しかしておらず、40%の人々が属するミドルクラスの所有は、30%未満でした。
もっとも20世紀初頭において富の集中度は高く、もっとも豊かな0.1%の人々が、すべての富の12〜14%を所有していました。
その富の集中は1940年代から70年代にかけて低下します。この40年間で、もっとも豊かな0.1%の人々が所有する富は半分以下になり、1980年代にはおよそ6%になったのです。富の格差がかなり縮小した社会が実現されていたということです。
しかし、その後、もっとも豊かな0.1%の人々が所有する富の比率は再び上昇、現在はほぼ8%に達しています。