高齢化の進む日本では、老後の介護も大きな課題です。介護が必要となった場合、介護サービスなどを受けるための費用も用意しなくてはいけません。そういった時に活用できる2種類の介護保険があります。改めて整理してみましょう。
増加傾向にある日本の高齢要介護者
日本では年々、要介護または要支援認定を受ける65歳以上の人が増加傾向にあります。厚生労働省の発表によると、65歳以上の要介護認定者は、平成19年から平成30年のうちに約207.4万人増加しています。
(注)平成22(2010)年度は東日本大震災の影響により、報告が困難であった福島県の5町1村(広野町、楢葉町、富岡町、川内村、双葉町、新地町)を除いて集計した値 出典:厚生労働省「介護保険事業状況報告(年報)」を基に作成
厚生労働省「平成28年 国民生活基礎調査の概況」のデータでは、介護が必要となった主な原因は要介護度・要支援度によっても異なりますが、全体では「認知症」「脳血管疾患(脳卒中)」「高齢による衰弱」の順で多くなっています。
いずれの原因も、生活習慣の見直しなどで予防を見込めるともいわれています。しかし、完全にならないように防ぐことは難しくもあります。要介護状態となるリスクは、誰もが持つものといえるでしょう。
介護に備える2種類の介護保険とは?
こうした介護リスクに備えるのが、介護保険です。介護保険には「公的介護保険」と「民間介護保険」の2種類があります。
40歳以上は必ず加入する公的介護保険とは
公的介護保険とは、増える介護に社会全体で備える目的で、2000年に開始した仕組みです。日本では40歳以上になると全員公的介護保険の加入者となり、介護保険料の徴収が開始します。
公的介護保険の加入者は、65歳以上(第1号被保険者)であれば原因を問わず、40歳以上65歳未満(第2号被保険者)は特定の疾病を原因に、要介護・要支援認定を受けた場合に、介護サービスを受けることができます。事業者のケアマネージャーや地域包括支援センターの担当職員が作成したケアプランを基に、介護サービスを利用します。
介護保険で定められている支給限度額内であれば、利用者の費用負担は1割~3割(年齢や収入によって異なる)です。限度額を超えてサービスを利用した場合や、公的介護保険の対象外の費用については全額自己負担となります。ただし、所得の低い人や自己負担額が一定以上の場合など条件を満たした場合には負担軽減措置も受けられます。
参考:厚生労働省「介護保険制度について(40歳になられた方へ)」「サービスにかかる利用料」