株式会社MyReferは2020年7月、「21卒就活生の内定承諾に関する調査」の結果を発表した。調査期間は2020年7月8~9日で、2021年3月卒業予定者のうち、就職活動により1社以上の内定を持つ学生628名から回答を得た。この調査の結果から、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた21年卒学生の就職活動における、内定保持後の意識の変化などが明らかとなった。

不景気への不安か。4人に1人が2社以上に内定承諾をする意向

 21年卒学生は、新型コロナウイルス感染症拡大による選考活動変更の影響をダイレクトに受けている。そのような状況で、学生の就職活動への意識はどのように変化しているのだろうか。最初に、21卒学生のうち1社以上の内定を保持している人に対して、「いくつの内定承諾を出す予定か」を聞いた。その結果、「1社のみ」が65%と最多に。次いで「2社」が18%、「3社以上」が7%と、合計25%の人が2社以上に内定承諾をする意向であることがわかった。

 通常、内定に承諾するのは1社のみとするのが一般的だったが、リーマンショック後の就職活動でも内定を複数承諾する動が見られたことから、新型コロナウイルス感染症拡大がもたらす経済への影響、不景気への不安が背景となっているのではないかとうかがえる。

複数承諾の裏に潜む「決め手の欠如」や「内定取り消しへの不安」

 複数社に内定承諾する理由を聞くと「内定先を決める際の決め手に欠ける」が48.4%、
「不景気による内定の取消しが不安だから」が45.1%、「選考スケジュールがずれていて、複数承諾せざるを得ないから」が41.8%の順に回答が多かった。

 選考のオンライン化により意思決定をおこなう難しさや、選考スケジュールにずれが生じたことによる就職活動の長期化、さらに新型コロナウイルス感染症拡大により経営状態が悪化し、企業側の事情での内定取り消しなどへ不安を持っていることがわかる。

約6割が最終意思決定の時期は内定式後

 次に、内定承諾後、最終的に1社に絞る時期を聞いた。その結果、内定者懇親会や内定者研修から内定式までの時期にあたる「7~9月」は39%だったのに対し、内定式後から年末までの「10~12月」が45%、年明けから入社式までの「1~3月」が12%となった。半数以上の学生が、内定式を済ませた後に最終的な就職先を決定する意向だ。

意思決定時の情報源として「内定者同士の情報」や「現場社員や人事によるアドバイス」

 複数社に内定承諾を出した後、一社に絞る際「最終的な意思決定をどのような情報をもとに行うか」の質問では、「内定者同士の情報」が40.2%、「現場社員や先輩からのアドバイス」が37.7%、「クチコミサイトやランキング情報」が35.2%などだった。

 文理別にみると、文系学生では「クチコミサイトやランキング情報」が最も多く39.3%、理系学生では上記に加えて、「人事からの情報提供」が47.4%と、影響力があるようだ。

 コロナ禍での就職活動を余儀なくされる21年卒学生の意識は、新型コロナウイルス感染症拡大前と大きく変化していることがわかる。今後この先行きが不安な中で、企業側は内定者同士の関わりや現場社員のアドバイス、人事からの情報提供などに積極的に取り組み、内定承諾者を継続的にフォローする姿勢が求められてくるだろう。

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HRプロ編集部

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