2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で「新しい生活様式」を取り入れることが求められていますが、雇用環境も決して例外ではありません。「雇用保険法」と「労災保険法」が法改正され、今までよりもさらに「副業」や「ダブルワーク」がしやすいルールになったのです。これまでは、副業を禁止していることが当たり前の社会でしたが、法改正を機に一層、副業やダブルワーク推進のムードが盛り上がるかもしれません。そうなると、副業禁止を続ける会社はどんどん時流から取り残されることになりかねません。では、「雇用保険法」と「労災保険法」がどのように改正されたのか見ていくことにしましょう。

雇用保険法:副業やダブルワークをしていても「失業保険」を受け取りやすくなった!

 一般的に会社を辞めて「失業保険(正式には基本手当)」を受け取るには、条件があります。それは、原則として「離職の日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算して12ヵ月以上あること」なのです。

 その「被保険者期間」が、それぞれ「1ヵ月」としてカウントされるためには、1ヵ月間に11日以上働いている必要があります。フルタイムで働いている人にとっては別に難しい条件ではないのですが、たとえば2つの会社に勤めていて、1つの会社のシフトが「週に1〜3回」程度では、条件をクリアできない月が出てくる場合があります。そうなると、「離職の日以前の2年間に12ヵ月の被保険者期間」が達成できない可能性が出てくるわけで、最悪の場合、失業保険が受け取れないことにもなりかねないのです。

 そこで、「雇用保険法」の法改正がおこなわれ、2020年8月の施行で、1ヵ月間に11日以上働いていなくても、80時間以上あれば1ヵ月として算定してくれるようになりました。ですので、「8時間×10日」でも、「4時間×20日」でもいいわけです。こうなると、副業やダブルワークでも失業保険が受け取りやすくなりますよね。

 ちなみに、65歳以上に適用される、「高年齢被保険者」の場合はさらにダブルワークがおこないやすい働き方が可能です。どういうとかというと、勤めている1つの会社で、「1週間の所定労働時間が20時間未満」の場合、被保険者になることができませんが、「2つ目の会社での1週間の所定労働時間と合計して20時間以上」であれば、高年齢被保険者になることができます。

 一般の被保険者と同じ失業保険を受け取ることはできませんが、「高年齢求職者給付金」という一時金が支給されますし、「教育訓練給付金」や「育児休業給付金」、「介護休業給付金」の支給対象になっていますので安心ですね。

 次は、「労災保険法」の法改正の内容についてお話ししましょう。