中国・北京の人民大会堂で習近平主席と握手する自民党の二階俊博幹事長(2019年4月24日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 前回のコラム「今井氏、二階氏、日本の対中融和勢力を米国が名指し」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61480)では、米国の有力シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)が日本の対中政策の形成要因について調査した報告書の内容を紹介した。その報告書によると、自民党幹事長の二階俊博氏や首相補佐官の今井尚哉(たかや)氏の対中融和姿勢が、日本の対中政策に大きな影響を与えているという。

 ではその二階氏は中国に対して一体どんな考えを抱いているのか。実はその解明は難しい。なぜなら二階氏が日本がとるべき対中政策についてなんらかの見解や主張を述べた記録は皆無に近いからだ。

 私は産経新聞中国総局長だった2000年ごろから、北京をよく訪問する二階氏の言動に関心を払ってきた。それ以来、彼の中国への親密な接近を観察してきた。だが、なぜ日本の政治家がこれほど中国に接近しなければならないのか、彼自身による言明は一度もなかった。「友好」とか「善隣」とか「先人の努力」といった曖昧な言葉が出てくるだけで、政策と呼べるような外交方針の説明はほぼないに等しい。対中友好は言葉よりも行動で示す、ということなのだろうか。