新型コロナウイルスの感染が世界中に広まって以来、ウイルスに関する話題を耳にしない日はありません。今回のキーワードは「発酵技術」。目に見えないほど小さなものたちの話題です。最後には、注目したい関連銘柄もご紹介します。
地球は微生物の星
人間や樹木、動物は目につきやすいのですが、目に見えないくらい極小の生き物はどうしても存在を忘れてしまいがちです。しかし地上には驚くほどたくさんの微生物が生息しています。
私たちの日常生活の場である室内には、空気1立方メートル当たりに数百個の微生物が存在しています。ゴミ処理場や食肉処理場になるとこれが数十万個に増えます。
ひとつまみの土の中には1000万個を超える細菌が生きています。1滴の海水の中には50万個もの細菌がおり、ヒトの腸内は100兆個のバクテリアでいっぱいとされています。世界全体で80億人足らずの人間に比べて、地球で圧倒的な多数を占めているのは微生物です。地球は微生物の星なのです。
微生物 | 土壌乾量1g中の数 |
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細菌類 | 3億~4億個 |
酵母類 | 2000万~5000万個 |
放線菌類 | 20万~150万個 |
糸状菌類 | 3万~10万個 |
藻類 | 1万~10万個 |
原生動物 | 5000~1万個 |
人々にとって有益な場合は発酵、有害な場合は腐敗
ヒトを含む動物や植物を構成単位は「細胞」です。細胞の大きさは5~20ミクロンで、1人の人間は約70兆個の細胞からできています。細胞にはその生物を構成する基本的な遺伝情報のすべてが詰め込まれています。(1ミクロン[=マイクロメートル]は1ミリの1000分の1)
これに対して微生物の多くは、1個の細胞が独立して成り立っている単細胞生物です。カビや藻類など0.2ミリぐらいの大きさの生き物は肉眼でも見ることができます。これよりも小さな生き物は顕微鏡を使わないと見ることができません。
自立して増殖できる生物の中で最も小さい生き物は細菌(バクテリア)です。多くは1~3ミクロンの単細胞生物で、最小のものは0.7ミクロンほどです。(ウイルスはさらに小さく0.02~0.6ミクロンとされています)
この微生物を私たちの暮らしの中で上手に利用してきたのが「発酵」という技術です。