積立投資でパフォーマンスを挙げるには……「時間」
積立投資に限らず、投資でパフォーマンスを挙げるには、やはり時間が味方です。
「『投資は長期で』という話はよく聞くけど、それって、どのくらいなの?」
とお感じの方は多いと思います。「長期」という言葉に対する印象も、お一人おひとり異なるとは思います。繰り返しになりますが、投資は未知の未来への投資ですから、未来の利益に対するお約束はできません。が、過去を振り返ることはできます。
Cファンド(公社債ファンド)とDファンド(日本株ファンド)につきましては、表1と表2の比較が可能です。
表1と表2では、積立投資の売却は同じ時期ですが、積立投資を始めた時期が異なります。表1の積立投資を始めたのは2016年9月30日ですが、表2では2009年1月30日です。ということは、表1と表2とでは、積立投資の期間も異なりますね。表1は3年7カ月、表2は11年8カ月です。
つまり、表2の方が長期投資なのです。
では、肝心のパフォーマンスの方はいかがでしょうか?
ファンドごとに比較しましょう。
まずCファンドから。
表1では⑤損益分岐点は10,819円なのに対し、表2のそれは10,784円です。先述の通り、積立投資においては損益通算分岐点が低い方が良いので、表2の長期投資の方が、パフォーマンスが優れていることになります。
また、それ以前に⑨売却益をご覧いただくと、表2の方が4,796円のプラスなのに比べ、表1については投資金額に対し3,357円のマイナス、つまり元本割れになってしまっています。
続いてDファンドについて。
DファンドについてもCファンドと同じ傾向を見ることができますが、表2は投資金額に対し884,250円のプラスなのに比べ、表1のそれは30,248円のマイナスとなっています。
あくまでも過去の話ではありますが。
積立投資の期間が3年7カ月と比較的短い表1では、CファンドとDファンドはどちらもマイナスのパフォーマンスでした。
期間が11年8カ月にわたる表2では、CファンドとDファンドのどちらもがプラスのパフォーマンスとなりました。
長期投資の「長期」の定義を明確にすることはできませんが、「短期積立投資より長期積立投資の方が優れたパフォーマンスを示した」という過去の事実をお見せすることができました。
積立投資でパフォーマンスを上げるには……「低迷の期間」
実際には、積立投資でパフォーマンスを上げるためには、ただ「長期」に投資すればいいというわけではありません。
例えば、あり得ないお話ではありますが……。もし、基準価額がひたすら右肩上がりの投資信託があったとしたら。その投資信託には積立投資は向いていません。むしろ、一括投資の方が効率良くパフォーマンスを挙げることができます。
表2のDファンドのシミュレーションでは、合計152回の積立投資を行っていますが、そのうちの80回が10,000円を下回る基準価額で積立投資を行っています。同じく表2のCファンドでは、同じ152回の積立投資で、10,000円を下回る積立投資は20回あります。
この基準価額の低迷の期間があればこそ、損益分岐点を引き下げることができるわけです。
「積立投資を行っているが、プラスのパフォーマンスを上げることができず、不安」とおっしゃっていた方、いかがでしょうか?
むしろ、「これからの株価低迷に期待」という、心の余裕をお持ちになることができましたでしょうか?
もっとも、基準価額が低迷したままでは、プラスのパフォーマンスにはならない場合もあります。売却時の基準価額が、損益分岐点を1円でも上回っている必要があります。