コロナ禍でもジタバタせずどっしりとした運用を継続
そんな独自の運用哲学を持つ『げんせん投信』のパフォーマンスは以下の通り。
やはり短期的な下落は避けられなかったようですが、それでも順調に回復していることがわかります。
このファンドで特に筆者が好感をもったのは、コロナショックに端を発する大きな調整局面を迎えてもジタバタせず、どっしりとこれまで通りの運用を継続している点です。同ファンドの5月発行のレポートには、運用を担当する伊藤琢チーフ・ポートフォリオ・マネジャーのこんなコメントが載っていました。
新型コロナウイルスに起因する実体経済へのマイナスインパクトがどれほど長期化するのか、いつ回復に向かうのかを見通すことは難しいと考えています。こうした状況のなか、保有銘柄の相対的な競争力と成長シナリオは変わっていないため、大きな売買は行っていません。
足もとの業績が悪化することは避けられませんが、中長期的には競争優位性を発揮して企業価値を向上させられる銘柄群に投資していると考えています。
そもそも長期的な視野で銘柄を選んでいるから、コロナショックのような外的な要因で株価が下落しても、保有銘柄の成長シナリオに変化はない、という肝が据わった姿勢が伝わってきます。
やっぱりアクティブファンドはこうでなくっちゃ。短期的な相場の上下で売ったり買ったりするのではなく、企業価値の「源泉」をしっかり見据えつつ、銘柄を「厳選」して投資してほしいものです。
そういえば以前インタビューした投信ブロガーのrennyさんも、「投資のリターンは目先の価格変動から生まれるのではなく、投資先企業が生み出す価値がもたらすもの」と言ってたっけ。でも企業の本質的な強さや価値は、個人ではなかなか見出しにくいもの。それを個人に代わって調べつくし、厳選して投資してくれるのがアクティブファンドの存在意義です。
人気投信ブロガー・rennyさんに聞く株式投資の本質 下落局面でこそ真価を発揮するアクティブファンド
気になる組入上位10銘柄は下記の通り。長期で持ち続けたい企業ばかりです。「げんせん」と名乗るだけあって、組入銘柄の数も40~50銘柄と絞り込んでいるのもこのファンドの特徴です。
6月5日にリリースされた最新のレポートによると、「新型コロナウイルスによって社会の構造変化が起きており、それにより従来の強みや成長ストーリーに見方の変更が必要であると考える銘柄がいくつかあります。このため、相場や株価を見ながら、今よりも保有銘柄数を若干減らし、確信度の高い銘柄への集中度を小幅に上昇させていくことを検討しています」とありました。
さらに「厳選」と「源泉」を追求するのでしょうか。王道の日本株アクティブファンドのひとつとして、『げんせん投資』にはこれからも注目していきたいですね。