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(吉田 典史:ジャーナリスト)

 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、3月に入った頃から「医療崩壊」が新聞やテレビなどマスメディアで報じられ始めた。報道の舞台は病院が多かったが、規模が小さく、患者との面談が多い在宅診療クリニックの最前線ではどのようになっていたのか。医師や看護師、管理部門の職員の人事や労務、在宅勤務はどうであったのか──。

 在宅勤務は「働く場所や時間を柔軟にする」として感染拡大防止の切り札のように報じられるケースもあるが、果たしてそれは事実なのだろうか。今回は、その実態に迫りたい。

1日に平均5軒の患者宅を1人で訪問

 医師や看護師が主に高齢者などの患者の自宅を訪ねて診療、看護をする医療法人社団親樹会・恵泉クリニック(東京都世田谷区、院長:太田 祥一)は2020年2月から感染を防ぐ態勢を早急に整えた。1995年に前身の「沖田ビルクリニック」の頃から現在に至るまで25年にわたり、厚生労働省が認可する機能強化型在宅療養支援診療所として訪問看護、デイサービス、居住介護支援をしてきた老舗である。