(数多 久遠:小説家・軍事評論家)
6月15日、河野太郎防衛大臣が臨時会見を開き、イージス・アショアの配備プロセス停止を発表しました。
プロセスの停止という言葉が、再開の可能性もあるのか、それともイージス・アショアの白紙撤回となるのか等については、河野大臣は、明言を避けています。NSC(国家安全保障会議)で報告した上で、改めて検討となるようです。
しかし、北朝鮮などの弾道ミサイルの脅威と、それに対応するイージス搭載護衛艦が弾道ミサイル対処任務に張り付けとなる問題に変化はありません。
また、この会見での発表を受けた6月16日の自民党国防部会では激しい異論が出るなどしているため、単純に配備が中止され、ミサイル防衛の手立てが講じられないということはないでしょう。
今回、配備プロセスの中止が決定された理由は、会見や防衛省が公表した資料では、山口県のむつみ演習場への配備に伴う地元説明の関連とされています。つまり、SM-3ミサイルのブースターを安全に落下させるためにはコストがかかりすぎることが判明した、という理由です。
以下では、ブースターをむつみ演習場に落下させるという防衛省の目論見が妥当だったのか、なぜそのような計画にしたのかを考え、対策とそれ以外にも見えてきた見直すべきものについて見てみたいと思います。