(花園 祐:上海在住ジャーナリスト)

「国の乱れは官の乱れから」という言葉があります。役人が堕落すると、その国は政治が乱れ、衰退するという意味です。

 中国史においては、「国の乱れは宦官(かんがん)の乱れから」と言うことができるかもしれません。宦官(別称「太監」)とは、中国の王朝における、男性去勢者にのみ任官が許された官職を指します。

 皇帝の寵愛を傘にして、朝廷の混乱を引き起こし、王朝を滅亡へと追いやった宦官は少なくありません。中には、仕えた皇帝以上にその名が今に伝えられている宦官もいます。ただ、そうした佞臣(ねいしん:主君にこびへつらう心のよこしまな臣下)が多いというイメージがある一方、国家の大事業に大きな功績を残し、世界史上に名を轟かした宦官も存在します。

 今回は、中国史における「影の主役」ともいうべき宦官にスポットを当て、その歴史と著名な人物を紹介したいと思います。