(後藤 健生:サッカージャーナリスト)
ようやく、世界のスポーツ界が動き出した。
ヨーロッパ主要国のプロ・サッカーリーグとしては初めて、ドイツのブンデスリーガが5月16日に無観客で再開。選手のコンディションはまだ万全からは程遠いように見えたが、すでに3節分を消化した。
その他、スペイン、イングランド、イタリアなど、ドイツより感染者数や死者数が多かった国でも6月中の再開を目指して日程の調整が行われている(フランス、オランダ、ベルギーは「中止」を決定済み)。
また、世界最大の感染者数と死亡者数を記録しているアメリカも一時に比べれば感染の勢いが収まりつつあり、野球の大リーグ(MLB)は7月上旬開幕を目指しているという。おそらく、7月4日の独立記念日あたりがターゲットなのだろう。
日本でも、5月25日に政府が緊急事態宣言の全面解除を発表。プロ野球(NPB)は早速「6月19日開幕」という日程を発表した。また、プロ野球と連携しながら再開を模索してきたJリーグも、J1が7月4日、J2とJ3が6月27日の開幕となることを発表した。
手探りではあるが、世界のスポーツは一歩ずつだが着実に動き出している。
IOCの「無責任体制」
そんな中で、2021年夏に延期された東京オリンピックの開催を巡って、このところいくつかの動きがあった。
まず、5月20日には国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が英国BBC放送とのインタビューの中で「2021年の開催が無理になった場合には東京オリンピックを中止とする」。つまり「再延期はない」という見方を示したのだ。さらに、同22日にはIOCのジョン・コーツ調整委員長が、やはりインタビューで「2021年に開催できるかどうかを評価する時期は10月ごろになる」との考えを示した。
もっとも、バッハ会長やコーツ調整委員長の発言の裏にIOCとしての明確な決定や意思が存在するようには僕には思えない。単なる個人的な見解か、あるいは観測気球なのだろう。
バッハ会長は、安倍晋三首相の“発言”を引用した。