(尾藤 克之:コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)
新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言について、安倍首相は、39の県で解除することを正式に表明しました。残る8都道府県の解除のタイミングについて「28日ごろ、定期的、立体的に考えるのが自然」とする見解を示しました。
しかし、自粛の影響は大きく、経済活動の影響は計り知れません。筆者は、とくに、雇用への影響を危惧しています。今後、労働者は何に留意すべきでしょうか。
質問にお答えします
最近、コロナ解雇に関する記事を寄稿していますが、その記事についてメッセージや質問をいただいているので、この場を借りてお答えいたします。
Q.離職票を転職先に提出するわけではないので、解雇理由はわからないのではないか?
筆者は、勤務先で懲戒解雇になると、次の勤務先を探す際にその事実により、再就職が困難になると書きました。であるから、懲戒解雇になるような行為はなるべく慎むようにとも書きました。
離職票は退職者が失業給付金(基本手当)の受給を申請する際に、ハローワークに提出する書類です。転職先に提出するものではないから解雇理由はわからないという指摘がありました。しかし、ハローワークを通じて転職先を探す時には、先方の会社にその内容が伝わります。
また、ハローワークを通さずに自力で転職先を探す時はどうでしょうか。離職票は転職先に提出するためのものではありませんが、会社が提出を求めてくることは考えられます。その場合、転職したての会社に「提出する義務はないから拒否します」とはなかなか言えないのではないでしょうか。
そんなことをしたら、それこそ、退職理由に何か不可解な点があるのではないかと勘ぐられるだけです。離職票の提出を求めなかったとしても、企業では新規採用者のリファレンスは当たり前のように行われています。転職後に懸念を感じた人事担当者(外部に委託する場合もあります)が前職に問い合わせることはよくあります。