(写真はイメージです/Pixabay)

 2020年は、新型コロナウイルスの1年となりそうである。明るいニュースが少ない中、あえて壮大な宇宙に目を向けてみよう。野辺山宇宙電波観測所長の立松健一氏が、星の一生と人類誕生の意外な関係についてわかりやすく解説する。(JBpress)

我々の体を構成する元素はどこから来たのか

 我々の体は、骨、筋肉、脂肪、血液などでできています。そのもとは、炭素、酸素、窒素、カルシウムといった元素。このような元素は、実は宇宙に最初からあったわけでなくお星さまの中でできたって知っていますか?

 今から138億年前、ビッグバンという大爆発で宇宙が誕生しました。この時に宇宙にあった元素は、水素とヘリウムです。我々の体を構成する元素の炭素、酸素、窒素、カルシウムなどはありませんでした。これらは、太陽の仲間である恒星、すなわちお星さまの中で生成されたのです。

 ご存じのように、我々の太陽は、核融合反応で光っています。水素がヘリウムに変化する反応です。人間と同じように、恒星にも赤ちゃんの時期、子供の時期、現役世代の大人の時期、老人の時期があります。この現役世代の星のことを「主系列星」と言います。

 図1に、天文学で重要な図を載せました。発見者の2人の名を連ねてヘルツスプルング・ラッセル図とも呼びますが、頭文字でHR図とよく呼びますので、この略称で呼びましょう。

図1 HR図の概念図。丸の大きさは星の大きさを概念的に表している。赤色巨星は非常に大きくてこの図に収められないので、かなり小さめに描いてある。主系列星は右下から左上にかけて質量が大きくなる。1000倍の違いがあり、右下の星は太陽の0.1倍、左上の星は100倍の重さ。