ソフトウェアの品質保証・テストを行う株式会社SHIFTは2020年4月、新型コロナウイルス感染症拡大の防止策として従業員の在宅勤務(テレワーク)を推進するなか、取引先オフィスに常駐および自社のテストセンター内で業務を行う従業員に対し「危険手当」を支給すること発表した。同時に、取引先に対しても在宅勤務化に向けた働きかけを行い、従業員の心的不安やストレスを解消するとしている。

モチベーション維持と心身のケアを目的に導入

 新型コロナウイルス感染症が猛威を振るうなか、在宅勤務体制へと移行する企業も多い。しかし、ITシステムやソフトウェア開発・運用を専門分野とする業界では、企業ごとに厳密なセキュリティ規定や方針が定められており、ITエンジニアが取引先企業に常駐勤務する「オンサイト勤務」が必要とされるケースがある。SHIFTでも、現在一部従業員が取引先企業に常駐。また自社内でも出社を必要とする業務があり、全従業員の在宅勤務体制移行が困難な状態だという。

 これを受け、SHIFTは全取引先に対して自社の従業員の在宅勤務化を提案。また、取引先および自社への出社が必要な従業員の心身にかかる負担軽減を目的として、日額3,000~4,000円の「危険手当」を支給することを決定した。

 危険手当の支給対象者は、正社員を始め、契約社員、アルバイト、業務委託契約を含むオフィス作業が必要な全従業員。在宅作業を行う場合も、高いセキュリティ環境化での精神的負担が憂慮される場合は支給対象となる。期間については、原則在宅勤務体制を求める期間としているが、今後の情勢を見ながら決定する方針だ。

在宅勤務時の懸念を解決するため、セキュリティ体制を強化

 同時に、取引先の在宅勤務に対する懸念点を解決するための新たな取り組みも実施。万全なセキュリティ体制のもとで在宅勤務を行うことを提案するため、3段階の新たなセキュリティ体制を構築した。具体的には、「全従業員を対象とした誓約書の締結」、「オフィス勤務時と同様の環境下にアクセスできるVPN」、「生産管理レポートの実施」、「セキュリティルールや生産性維持のための教育の徹底」などを、既存のセキュリティ体制に追加で導入している。

 また、在宅勤務を行う従業員の負担軽減を目的として、専用のPC端末を非正規雇用の従業員にも用意するほか、携帯型無線LANルーターの貸し出しなども実施した。

 新型コロナウイルス感染症との戦いに終わりが見えないなか、企業にも従業員の健康保持や事業継続のための施策が必要とされている。取引先との関係を維持しつつ、在宅勤務の長期化によりモチベーションが低下しないよう、従業員の負担軽減や心のケアにも取り組んでもらいたい。

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HRプロ編集部

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