4月20日、山岳4団体(日本山岳・スポーツクライミング協会、日本勤労者山岳連盟、日本山岳会、日本山岳ガイド協会)は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、「山岳スポーツ愛好者の皆様へ」として、登山やクライミング行為などの山岳スポーツを自粛するよう、共同声明で呼びかけた。
登山業界を盛り上げていく立ち位置にあり、特に登山愛好者の3協会と立ち位置の違う職業プロフェッショナルの集まりであるガイド協会が共同で声明を出したことは、新型コロナに対する業界の危機感を如実に表している。ゴールデンウィーク前に出したこのタイミングも含めて、登山者の自粛を呼びかける方法として、最適であった。
山小屋も次々と休業を決定
危機感を持っているのは、業界団体だけではない。八ヶ岳では、11月まで山小屋の休業を決めた小屋もあり、富士山も吉田口、富士宮口では全山小屋一斉に今夏の休業を決めた。皆、身を削って、決断している。山小屋にとって、ひと夏休むということは、来年まで売上ゼロを耐えるということだ。それでも、新型コロナのクラスター源となることを危惧している。
ただ、確かに山小屋は3密だが、通常の山歩きであればいいのではないかと考える人がいるのも事実。実際、4団体の声明に同調した登山家の野口健氏に対し、ホリエモンが、頭悪すぎて笑うと返したことがニュースになっている。
それでも、自粛しなければならない。3密ではないとか、感染の可能性が低いとかという問題ではない。自粛しなければならない理由は、受け入れる側のインフラを一撃で壊滅させる恐れがあるから、だ。そして、その影響は計り知れず大きくなる可能性がある。