第99回天皇杯全日本サッカー選手権大会決勝戦で鹿島アントラーズを破りクラブ初のタイトルを獲得したヴィッセル神戸のメンバー(2020年1月1日、写真:つのだよしお/アフロ)

(後藤 健生:サッカージャーナリスト)

 新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の急激な拡大によって、今から100年前の出来事がにわかに注目を集めるようになった。いわゆる「スペイン風邪」のパンデミックの話題である。1918年に発生したスペイン風邪の流行によって世界では数千万人の生命が失われ、日本でも40万人以上が死亡していると言われている。今回のコロナウイルス禍を凌ぐ大規模な流行だ。

 この時期、ヨーロッパは第1次世界大戦の末期であり、ロシアでは1917年に革命が起こってボルシェビキ政権が発足し、その後も内戦が進行していた。また、東ヨーロッパや中東では、それまでこの地域を支配していた諸帝国の崩壊によって情勢が流動化していた。

 日本は世界大戦には直接巻き込まれなかったものの、戦争終結とともに不況に見舞われ、また米価高騰によって米騒動が起こったのも1918年のことだった。さらに、日本は1923年には関東大震災にも見舞われることになった。

 1910年代から20年代にかけて、世界も日本も大変な時代だったのは間違いない。

 しかし、この時期の日本のスポーツ人はとても元気だったようだ。