「新型コロナウイルス対策連絡会議」の設立を発表するNPBの斉藤惇コミッショナー(左)とJリーグの村井満チェアマン(2020年3月2日、写真:つのだよしお/アフロ)

(後藤 健生:サッカージャーナリスト)

 新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の拡大によって全国の小中高校が休校に追い込まれるなど、影響は大きく広がっている。

 スポーツ界でも開幕したばかりのJリーグは第2節以降のすべての試合が中止(延期)となってしまったし、東京オリンピックのマラソン代表の最後の1枠を争う東京マラソンでは一般ランナーが不参加となった。プロ野球のオープン戦は無観客のまま実施されており、大相撲3月場所(春場所)も無観客での開催が決まった。

 国際的にもアジア地域の多くの国際大会が中止になったり開催地の変更を余儀なくされたし、ヨーロッパでもイタリア北部のロンバルディア州とヴェネト州を中心に感染が拡大したため、イタリア・サッカーの1部リーグ「セリエA」でも一部の試合が延期となった。今季の優勝争いを占う大一番、ユベントス対インテルの試合も延期である。

一斉にイベント中止でよいのか

 影響を受けたのはスポーツ関係だけでない。コンサートや演劇などの公演も次々と中止となっている。まるで「今、このご時勢に何かのイベントを強行するのは非国民」といった雰囲気だ。

 新型ウイルスは接触感染または飛沫感染が中心とのことだけに、不特定多数の観客が密集するイベント、とくに室内でのイベントの中止はやむを得ないだろう。だが、イベントの相次ぐ中止は関係者の生活を直撃するものでもある。そして、安倍晋三首相の「要請」に追従する形で、付和雷同的に多くのイベントが一斉に中止に追い込まれていったあたりには、どこか“危うさ”を感じざるを得ない。