やさしい株式投資のハナシ

 資産運用に興味があっても、初心者にとって株式投資のハードルは高いもの。本連載では、現役の証券アナリストが株式投資の魅力や付き合い方をやさしく伝えます。

株価が高止まりしていた優良株も軒並み安値に

 新型コロナウイルスの感染者の世界的な増加が止まりません。4月7日、国内では緊急事態宣言を発表しました。不要不急の外出自粛や商業施設の一時閉鎖により、今後の企業活動にも影響が出ると思われます。株式市場においても一時は相場の変動率が急上昇し、日経平均株価が1日で1000円超上下する日も珍しくありませんでした。

 一方で、ネット証券などの口座開設件数も急増していると聞きます。安値圏にあるのをチャンスと見て、これまで参入できなかった新たな個人投資家が投資を始めているようです。

 このような大幅下落の局面では、これまで株価が高止まりして買えなかった優良株も軒並み安値となっています。株価が下がると配当の利回りは上昇するため、とりわけ高配当の優良株への投資をお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 ただし、単に株価が安くなって見かけの配当利回りが上がっただけの株には注意しましょう。先行きの不透明ないまの状況では、業績の悪化によって配当が下がる減配リスクがつきものだからです。

 そこで今回は、相場の下落局面で狙いたいおすすめの高配当株をご紹介します。

おすすめ① NTTドコモ(9437)

 まずはNTTドコモをご紹介します。4/8の終値は3444円で前期の予想配当金は1株120円なので、予想配当利回りは約3.5%となります。

 NTTドコモの魅力は業績の安定性です。外出自粛やテレワーク推進でデータ通信量は増加傾向にあります。また3月からスタートした5G通信はまだエリアが限定的ですが、今後基地局を拡大し、よりユーザーの利便性が高まると見られます。新型肺炎の影響で、遠隔診療やテレワーク、エンターテインメントなどにおいても5Gの大容量通信が活用されるでしょう。

 総務省の指導により携帯端末の過度な値引きが規制されていることで、ユーザーは他のキャリアに移りにくくなっています。これもシェアトップのNTTドコモにとっては有利な点となります。

NTTドコモシェアトップで業績の安定性がNTTドコモの魅力
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おすすめ② JT(2914)

 次のおすすめはJT、日本たばこ産業です。4/8の終値は1996.5円で今期の予想配当金は154円なので、予想配当利回りはなんと約7.7%と高い利回りです。

 ただし、配当利回りが高いということは減配のリスクも高くなります。特に新型肺炎の影響でたばこの売れ行きは落ち込むことが予想されます。

 一方で、たばこは日本国内ではJTの専売のため、禁煙が進んだ昨今でも収益性を図る売上高に対しての営業利益の比率は約2割と高めです。製造業などでは、この比率が1割未満の企業も多くあります。

 たばこの販売は現金収入が入りやすいため、多少の利益の減額があったとしても配当の余力は高いこともポイントです。