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新型コロナウイルス肺炎の犠牲者に中国指導部が一斉黙祷した(2020年4月4日、写真:新華社/アフロ)

(文:野口東秀)

 パンデミック(世界大流行)となった「新型コロナ禍」は国際秩序をどう変えるのか――。

 わけても米中の覇権争いの行方はどちらに有利に運ぶのか――。

 この点について、中国の習近平政権指導部は、世界の目が中国に対し厳しくなる可能性があるとみて危機感を募らせている。

 この2週間ほどで、急速に世界の中国を見る目が変わったことにより、指導部に近い中国のシンクタンク関係者は、中国を取り巻く状況に我慢できなくなり、指導部に直言したという。

 その内容は、中国の初動対応の遅れが世界に新型コロナウイルス感染が拡大した最初の大きな要因であるとした上で、目下、信用回復と影響力拡大のために展開している「マスク外交」「公衆衛生外交」が失敗に終わる可能性があること、だからこそ中国は「孤立化」を避けるために新しく賢明な外交方針を模索すべきだというものだ。

 同種の意見は、中国共産党の体制内から公開書簡の形で指導部の外交を批判する動きとしても浮上した。

 こうした動向は、党内部での「分裂」があることを示唆しているが、直言は功を奏するのだろうか。

「新しい戦略を打ち出す必要がある」

 習近平総書記は4月8日、中央政治局常務委員会を開き、厳格な新型コロナ対策を維持しつつ、社会経済活動の全面的回復を図れと指示した。

 このなかで、
「不安定、不確定な要素が著しく増加している」
「極めて厳しく複雑な国際疫病情勢と世界経済情勢に直面しており、我々は思想面でのレッドラインを堅持し、比較的長期にわたり、外部環境の変化に対して思想と仕事の面で準備しなくてはならない」
と指示した。

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