4月7日、参議院議員運営委員会での安倍首相(写真:UPI/アフロ)

(尾藤 克之:コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)

 新聞報道によれば自民党の鳩山二郎衆院議員(福岡6区)の60代の男性秘書が新型コロナウイルスに感染したことが13日に判明しました。永田町に勤務するに勤務する議員秘書の感染が確認されたのは今回が初めてです。永田町は国家中枢機能が集中する場所で、国会議事堂、首相官邸、衆議院議長公邸・参議院議長公邸、各政党本部などが立地しています。すでに霞が関の中央官庁では新型コロナウイルスの感染者が出ていますが、永田町でも感染拡大という事態になれば、その国家機能が麻痺しかねません。

 しかし、これまで国会の感染症対策は、とても十分とは言えないものでした。現役の国会議員・寺田学衆議院議員がJBpressに寄稿した記事にもありましたが、つい最近まで国会は、換気が十分でない本会議場に500人もの議員が密集して議事をするような、「3密実践」の場となっていました。つまり国会議員がクラスターの中心になる可能性すらあったのです。

(参考)マスクだけで万全?「3密」国会でコロナ対策の倒錯
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60024

 寺田議員らの発言や冒頭の議員秘書の感染を受け、ようやく国会でも感染防止対策が取られるようになりました。本会議場で議員同士が間隔をあけて座るようにし、採決時以外は本会議や委員会からの離席を認めるようになったのです。また、与野党は13日、1日あたりの議員の出席者数を「約3割」まで絞り込むことで合意しました。

 こうして、ようやく国会でも感染症対策が始まりましたが、そもそもこれだけコロナ問題について話し合っているはずなのに、なぜ国会議員は自らの感染症対策に敏感にならなかったのでしょうか。政府や自治体からの「外出自粛」要請を受けて家に籠っている国民とは、感覚のズレを感じざるを得ません。

国民は大きな経済的損失に耐えているのに

 感覚のズレは、彼らの「給与」とも言うべき議員報酬にもありました。

 国会議員は自粛の有無に関わらず歳費が満額保障されています。この点については批判も多く、タレントのビートたけし氏は、11日、レギュラー出演する出演するTBS「新・情報7daysニュースキャスター」に生出演し、政府の新型コロナウイルスの対策に対して怒りをあらわにしました。

「(議員報酬)を半分金返せよ。自分たちはハイヤーとかで移動して安全だもん。自粛してくださいって、強制的でなくて捕まえるとかでも何でもない。自分たちで率先して、ああします、こうしますってやっていけばいいのになんだか人任せで」

 弁護士の橋下徹氏は、国民に犠牲を強いる一方、国会議員からは報酬返還や減額などの動きがみられない現状に、ツイッターを通じて次のように述べています。

「こんだけ緊急事態だと言って民間には自粛を求め、それで国会議員は約2200万円の報酬に領収書抜きの経費年1200万と年720万円の使い方自由の事務費。加えて政党全体で350億円の政党交付金。これら全部税金。今こんなにもらうのは申し訳ないと思う国会議員は日本の国にはいないのか!」