4月を迎え、今年も新入社員を迎える季節になりました。入社式、新入社員研修といえば、人事にとって年に1度の大イベントです。数百人の新入社員を迎える大企業ともなれば、人事部総出で準備を行い、事前にリハーサルを行ったうえで本番に臨みます。ただ、そんな恒例の年間イベントも今年はかなり事情が違うようです。今回は、今年の入社式と新入社員研修の様子に迫ります。

いつもとは違った緊張感が漂う4月の恒例行事

 皆様もご存じの通り、世間では新型コロナウイルスが猛威を振るっています。多くの企業が在宅勤務や時差出勤を余儀なくされ、大企業では社員ほとんどが会社に出社していない状況です。

 多くの企業では、毎年恒例の入社式と新入社員研修も、社会情勢の影響からいつもとは違う意味で緊張感のあるものになりました。日本CHO協会の調査によれば、今年、入社式を実施すると答えた企業は調査対象の130社中72社(55.4%)でした。また、新入社員研修を実施すると答えた企業は100社(76.9%)です。

 この数値は人事担当者として、とても実感値に近いものです。入社式は本来ならば実施したい。でも社長や役員が参加する式典での感染拡大リスクを避けたい。新入社員の気持ちを思うと盛大に祝ってあげたいけれども、会社としてはリスクを回避するべき。という風に多くの人事担当者は思っているのではないでしょうか。

 一方で新入社員研修は予定通り実施したいという気持ちがあります。これは日本企業の慣例的なものもありますが、入社式後に研修もなく、いきなり配属というのもどこかすっきりしない。そもそもいきなり配属したところで、各職場も受け入れ体制がない。それ以前に今年は職場に誰もいない、という状況が発生しています。ですが新入社員のためにも、配属先の現場のためにも、基本的なビジネススキルの習得だけでも研修として実施したい。多くの人事担当者は、そんな風に考えているでしょう。

 というのも、日本では基本的なビジネスマナーが存在しています。ホウレンソウや名刺交換、席次などの「お作法」を覚えるのは新入社員研修の毎年恒例のコンテンツの一つです。あまりお作法の関係ない海外では、入社後すぐに配属という企業もありますが、日本ではそうもいきません。

 やはり、入社式と新入社員研修は日本の人事の恒例行事なのです。