リンクトイン日本代表の村上臣氏

 リアルのコミュニケーションを重視した日本の社会や経済のあり方を根底から変えつつある新型コロナウイルスの感染拡大。対面での面談が実質的に不可能になったように、採用や就職も変化の波に洗われることが必至だ。企業の採用活動や就職活動がどうなっていくのか、世界最大のビジネスSNS、リンクトインの村上臣(むらかみ・しん)日本代表に話を聞いた。(聞き手は結城カオル)

「オンラインでもできる」みんな気づき始めた

──コロナウイルスの影響で、学生向けの会社説明会が中止や延期を迫られました。採用や就職にどういう影響を与えると思いますか。

村上臣代表(以下、敬称略) これまでのような対面型の採用から、オンラインでの採用にシフトしていくのは間違いないと思います。そもそも外資系企業やグローバルに展開するIT(情報技術)企業では、一度も候補者に会わず、海外在住の人を雇うのは珍しくありません。それが可能なのは、個々の仕事に必要なスキルや業務の責任範囲が明文化されているからです。日本ではジョブディスクリプションが曖昧な求人が目立ちますが、欧米と同様に、仕事に求めるスキルや責任範囲が明確になっていくと思います。

 同時に、候補者のリファレンスをしっかり取る文化もこれを可能にしています。リンクトインなどを活用し、過去の取引先、上司や同僚からヒアリングをして裏を取ります。候補者探しの際も知り合いの知り合いを辿るようにして、推薦ベースでスカウトをしていきます。

 また、会社説明会からエントリー、面接というプロセスも変わっていくでしょう。通年採用の動きは広がりつつありますが、ある時期に集中して就職活動する文化は変わります。必然的に、インターンやチャットによる継続的なコミュニケーションなど、企業と学生の長期的な関係構築を模索するような動きが活発化すると思います。