日本ファイナンシャルアカデミー株式会社は、2020年3月に「同一労働同一賃金に関する意識調査」の結果を発表。全国20~40代の男女600名(正規雇用社員:300名、非正規雇用社員:300名)を対象としたもので、調査日は2020年2月19日。働き方改革の一環として、2020年4月より大企業で導入予定の「同一労働同一賃金」制度に対する社員たちの実態が明らかとなった。

約6割の非正規雇用者が「同一労働同一賃金」を知らない現状

 正規雇用と非正規雇用の待遇格差の解消を目的とする「同一労働同一賃金」。この制度は、どの程度認知されているだろうか。まず、「同一労働同一賃金のルールを知っていたか」と尋ねると、「知っていた」と回答したのは、正規社員53%に対し、非正規社員では41%という結果に。本制度により、賃金アップの可能性がある非正規社員の約6割が、制度そのものについて理解していないことがわかる。

約半数が「賃金アップを期待していない」非正規社員

 次に、「同一労働同一賃金制度が導入されることにより、今後自分の賃金がどう変わると思うか」と質問すると、非正規社員の49%が「変わらないと思う」と回答した。また、「増える」はわずか14%に留まる結果となっている。雇用形態を問わず、実力に応じた賃金が支払われると言われているが、実際に賃金アップを期待している非正規社員は半数だけと、少ないことが明確になった。

 一方で、正規社員の回答を見ると「減る」と回答した人は22%だった。成果主義となることで、賃金ダウンを予想する人も一定数いるようだ。

拭えない非正規社員の「金銭的不安」

 続いて、「同一労働同一賃金制度により、 将来のお金に対する不安はどうなったか」と尋ねた。非正規社員の回答を見ると、「変わらない」が77%と最多回答だった。また、「減った」はわずか8%に留まった。待遇差をなくすための制度であるにも関わらず、本制度に対する非正規社員の期待度は低い。

 正規社員も同様に「変わらない」が60%と最多回答ではあるが、「増えた」と回答した人が33%となり、全体の3割を超えている。回答理由としては、「正社員の特権を廃止するための制度だと感じる」、「中小企業ほど待遇格差をなくすために、正社員の待遇を削る方向へ進むと思う」などの声があがった。高齢化が進み、年功序列による賃金制度の維持が困難になりつつある現状を受け、成果による評価が広がることに危機感を感じていることが見えてきている。

 正規雇用者と非正規雇用者の業務内容や労働条件について、同一の条件を設けていない企業も多いのではないだろうか。制度導入を目前に控え、企業においては、自社にとって適切な対応方法を今一度再確認する必要があるだろう。

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HRプロ編集部

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