中国・武漢で発生した新型コロナウイルスの感染はおさまる気配を見せず、全世界に広がりを見せています。その影響は世界経済にもおよび、2月末から3月にかけて世界の主要株価指数が大きく下落しました。今回のマーケットの急変動は、2008年のリーマン・ショックをも思い起こさせます。株式や投資信託で資産運用をしている方にとって、株価の急落はウイルスの感染拡大と並ぶ不安材料かもしれません。
そこでMonJaでは、著名なエコノミストやファイナンシャルプランナー、当サイトの執筆者などを対象にアンケートを実施。個人投資家のみなさまが新型肺炎にどう向き合えばいいか、アドバイスをいただきました。
回答者⑩ 野尻 哲史さん
フィンウェル研究所 代表
1982年に大学を卒業し、国内外の証券会社調査部での勤務を経て、2006年より運用会社で投資教育に従事。20年以上にわたる資産形成・資産活用の啓発活動を続ける。2019年5月、定年を機に合同会社フィンウェル研究所を設立し、資産形成を終えた世代向けに資産の取り崩し・地方都市移住、勤労などに特化した啓発活動をスタート。日本アナリスト検定会員、2019年9月金融審議会市場ワーキング・グループ委員。
売却時期まで年数があるなら、今は積立を考えるステージ
② 大きな調整局面で、個人投資家がやってしまいがちなミスややってはいけない行動には何がありますか?
③ 個人投資家は現状にどう向き合い、どのような行動をとるべきでしょうか?
⑥ 投資を継続しようかどうか迷っている個人投資家にメッセージをお願いします。
投資ではなく、資産形成をしていると考えてほしいと思います。
投資家としては早めに売却したいと考えるでしょうが、退職後の生活のための「資産形成をしている」と考えるなら、売却時期は退職してからということになります。もしまだ売却時期(退職後の引き出しが必要になる時期)まで長い年数があるなら、今は売却価格よりも積み立てていく際の購入価格を考えるステージのはずです。