(渡辺 正:東京理科大学教授、東京大学名誉教授)
平年より2~3℃暖かい日が続くとか、桜の開花がだいぶ早まる、といったことを知って、「地球温暖化」を連想する読者は多いだろう。台風の洪水被害や「降水量ゼロ続き」の報道にも、似た反応をするに違いない。日ごろメディアにすっかり洗脳されているからだ。
温暖化報道の勢いでは、なぜか朝日新聞(とNHK)が突出している。10人近い「環境チーム」(2月26日朝刊)がつむぐ朝日の「温暖化記事」は、他紙の10倍どころではない。記事の根元には、「大気に増える二酸化炭素(CO2)は危険」という妄想がある。
実業界も妄想にとらわれ、食品大手の社長が「CO2が・・・増えて、気温も上がっていく。・・・企業として何か対応せにゃいかん」のだと、カップ麺の容器や食材を「植物系」に変える企画を自慢する(1月8日、NHK「おはよう日本」)。民間電力の社長が「CO2排出ゼロに向けて再エネを拡大する」と胸を張る(2月20日産経新聞)。
地球温暖化は、放置してよい(むしろ放置すべき)話なのに、見返りや儲けを狙う人々が、派手な話に仕立ててきた。だが「温暖化対策」は、実効がありえないばかりか、かえって社会に害をなす。竹槍でB29に立ち向かい、振り回したあげく勢い余って戦友を刺し殺すイメージか。
項目の全部があやしい三段論法
地球温暖化論の根元には、次の三段論法があった。
(1)地球の気温はどんどん上がり、異常気象など「気候危機」を生んでいる。
(2)地球の気温は、おもに人間活動の出すCO2(人為起源CO2)が上げる。
(3) CO2の排出削減に努めれば、温暖化は防止できる。
(1)~(3)はことごとく妄想だった。どこがどう間違いなのかを考えよう。扱いきれない話題は、拙著『「地球温暖化」狂騒曲 社会を壊す空騒ぎ』(丸善出版、2018年)と訳書『「地球温暖化」の不都合な真実』(日本評論社、2019年)を参照いただきたい。