参院予算委員会に出席した安倍晋三首相(3月3日、写真:つのだよしお/アフロ)

 令和2年度の予算案は2月末に衆院を通過し、3月からは参院で論戦が始まった。参院予算委初日となる3月2日、立民の蓮舫氏は舌鋒鋭く新型コロナウイルス対策の遅れを詰問した。

 しかし、この問題はいまに始まったことではない。コロナウイルスによる新型肺炎は前年12月初旬に湖北省武漢市で発生し、12月末には中国の李文亮医師がSNSで原因不明の肺炎を議論し治療にあたるが感染、1月12日に入院して2月7日に死亡した。

 厳重に情報統制していた中国での細部の動きは分からないとしても、日本の新聞も1月16日には新型肺炎患者が国内で確認されたことを報じ、李医師の死亡は中国当局の情報隠蔽問題として関心も呼んだ。

 それより前の2月3日には乗客乗員約3700人を乗せたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が横浜港に到着し、検疫理由で隔離問題が起きていた。

 このように、1月半ばには問題化し、下旬には日本でも大きな話題になり報道されていた。

 しかし、この時期の衆院予算委員会で野党は「桜を見る会」(以下「桜」とも)と前日の夕食会、IR汚職、河井前法相夫妻を含む辞任閣僚の説明責任などの追及に注力していた。

 日本の憲政史上最長となっている安倍晋三政権の緩みだとみて、野党の頭には新型コロナウイルス問題よりも倒閣しかなかったことが全国紙の報道からも読み取れる。

 以下では朝日新聞から主として抜粋する。