『みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史』は、発売日の2月14日、数々の一般書を抜いて書籍の総合第1位になった

『みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史――史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」』(日経コンピュータ著、日経BP)という書籍が注目を集めている。発売前の予約時点ですでにAmazonのランキングに入り、発売日には「書籍総合第1位」に躍り出た。社内や関係者だけではない幅広い人たちの関心を集めたということだ。19年間、みずほのシステムを追い続けた雑誌編集部でしか作れなかった力作である。

「システム統合の苦闘」とはどういうものか、なぜそうなってしまったのかを前掲書(以下『苦闘の19年史』と略)の内容に沿って紹介する。そして最後に、無事統合が完了したみずほ銀行の新システムに残る不安材料について触れる。

「3度目の正直」とは何か

 書名のサブタイトルにある「3度目の正直」とは何か。それは2度の大規模システムダウンを経て、ようやく古いシステムを根本から刷新できたということを指す。

 1回目のシステムダウンは、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行が合併し、みずほ銀行とみずほコーポレート銀行が発足した初日の2002年4月1日。旧富士銀行のキャッシュカードが旧富士銀行店舗のATMでしか使えなくなったほか、口座振替処理の遅れが約20日続いた。

 2回目は東日本大震災が起こった2011年3月。大量の義援金の振り込みが集中したことをきっかけに、口座振替処理が間に合わなくなり、ついにはATMが数日間にわたって停止した。

 その後、みずほ銀行は古くなったシステムの再構築に取りかかり、2019年7月に新システムが全面稼働した。旧3行のシステム統合プロジェクトが、みずほホールディングス設立の2000年9月以来19年経ってようやく完了したのだ。半年経った2020年2月現在、大がかりなシステムダウンは起こっておらず、ひとまず「3度目は起きなかった」と言える状態になっている。

 だが、喜んでいるだけではいけないのではないか、ということは記事最後で指摘する。

 日経コンピュータは主に企業情報システムを対象としたIT専門誌だ。1回目、2回目のシステムダウンの際にも『システム障害はなぜ起きたか』『システム障害はなぜ二度起きたか』という書籍を発行している。ただ、今回の『苦闘の19年史』はこれら2冊の抜粋も収録しているので、この一冊で過去の経緯も含めてほぼわかるようになっている。

『苦闘の19年史』は統合が完了した「第1部 IT業界のサグラダファミリア、ついに完成す」、2回目のシステムダウンを取り上げた「第2部 震災直後、「またか」の大規模障害」、1回目のシステムダウンを取り上げた「第3部 合併直後、「まさか」の大規模障害」という構成になっている。

 第1部は「システムが統合できた!」という新しい情報なので最初にあるのは仕方ないが、全体像をとらえるには時系列に並べた方がわかりやすいので、第3部、第2部、第1部という順で19年間の経緯を簡単に紹介する。