伸び悩むイギリスの株価指数「FTSE100」
最後に示すデータは株価です。イギリスの株価指数を目にする機会はあまりないと思いますが、日本における東証株価指数(TOPIX)と同じように、イギリスでは「FTSE100」という株価指数が知られています。
上記がFTSE100の過去10年間の値動きです(図表3)。2015年の「チャイナ・ショック」と呼ばれる中国株式市場の暴落、2016年の国民投票のときこそ株価が落ち込んでいますが、長期的には順調に成長しているように見えます。
ところが、ほかの株価指数と比べてみると印象が変わります(図表4)。
2010年の年初の株価を100としたとき、2020年1月末時点で米国は約282、ドイツは215、東日本大震災の影響で一時は大きく落ち込んだ日本も179に増えているのですが、イギリスは132と伸び悩んでいます。
2010年代の株価の足踏み、つまりイギリス企業の全体的な伸び悩みが、国民がEUからの離脱を望んだ遠因になったのかもしれません。
FTSE100に採用されているイギリス企業
FTSE100は、ロンドン証券取引所に上場しているイギリス企業のうち、時価総額が大きい100社の株価をもとにした株価指数です。
実際にどのような企業が入っているのでしょうか。たとえば下記のサイトで、FTSE100に採用されている企業の一覧が確認できます。
FTSE 100 constituents shares prices – London Stock Exchange
2002年2月4日時点の100社の名前をざっと眺めてみると、バーバリー、グラクソ・スミスクライン、ロールスロイス、ボーダフォン、ユニリーバあたりは知っている方が多いと思いますが、大半は日本人にとってなじみが薄い企業です。このあたり、先日紹介したアメリカのNYダウの30社とはずいぶん趣きが違います。
ロンドンは世界有数の金融センターということもあり、銀行・証券・保険などの金融系企業が多いのもFTSE100の特徴といえます。
FTSE100にはETFで投資できる
株価指数を対象とした投資の方法は、主に「投資信託」と「ETF」の2種類があります。ただし残念なことに、今のところイギリスのFTSE100のみを対象とした投資信託は設定されていないようです。
株式と同じ方法で取引できるETFでは、FTSE100に連動する商品が東証に上場しています。今なら1万円程度で投資できるようです。
何が起きるかわからないのが投資の世界。大切な資産を守るためには、さまざまな資産にお金を振り分ける「分散投資」が大切です。
イギリス経済はEUからの離脱による悪影響ばかりが指摘されますが、今の世界経済はブレグジットの影響より、まったく収まる気配を見せない新型コロナウイルスの猛威の方が大きなリスクとみなされているようです。こんな時だからこそあえて、イギリスの通貨ポンドやイギリス株式に目を向けてみるのもいいかもしれません。