知っておきたい資産運用のキホン【第3回】

 資産運用を始める前にぜひ知っておきたいポイントをわかりやすく紹介する本連載。第3回は、「経済指標」を取り上げます。

 前回の記事「分散投資の種類と効用を知ろう」はこちらから

はじめに~経済指標はリスクを発生させる原因となる

 今回取り上げる「注目すべき経済指標」は、第1回リスクとリターンの関係を知ろうの記事で説明した「価格変動リスク」「金利リスク」「為替リスク」などのリスクを発生させる原因となるものです。

 経済指標は大きく「過去を確認するもの」「現在の状況を見るもの」「将来を占うもの」の3つに分かれます。景気が下降している時は、景気の底打ち時期を探るため、「過去を確認する経済指標」が注目され、逆に景気が上向いている時には今後の経済状況への関心が高くなるため、「将来を占う経済指標」が注目される傾向があります。

 以下、注目すべき経済指標について米国の指標を中心に見ていきます。

なぜ米国の経済指標が注目されるのか

1 経済規模

 2018年の米国のGDP(国内総生産)は世界全体の約24.2%。中国が15.7%と追い上げてきていますが、まだまだ世界経済に対する影響力が大きいことが、米国の経済指標が注目される要因です。

2 経済指標を発表するスピード

 「雇用統計」が毎月第1金曜日、「ISM製造業景況感指数」が毎月第1営業日、「ISM非製造業景況感指数」が毎月第3営業日と、注目度が高い経済指標が毎月1週目には出そろいます。

 以下、それぞれの経済指標の見方について説明していきます。

過去を確認するための経済指標

 過去を確認する経済指標の代表的な指標として、「雇用統計」が挙げられます。

 雇用統計で注目されるデータは一般的に「失業率」です。一方で、リーマン・ショック後の米国の雇用統計では、景気の底打ち感を知るため、失業率ではなく、前月からの「非農業部門の雇用者数」の伸びが注目されました。逆に、非農業部門の雇用者数の伸びが鈍化した場合は、景気後退のシグナルになります。

米国雇用統計<非農業部門雇用者数(前月比)/失業率>

2019年 5月 6月 7月 8月 9月
雇用者数(万人) 7.5 22.4 16.4 13.0 13.6
失業率(%) 3.6 3.7 3.7 3.7 3.5