今年元日の中野サンプラザ。解体の方針はもはや覆りそうにない(筆者撮影)

(尾藤 克之:コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)

 筆者は、中野区で生まれ育った区民として中野駅周辺の再開発計画、特にサンプラザの存続について関心を持っていました。そこで2020年1月6日付にて、中野区議会全会派に「中野サンプラザ解体に関する公開質問状」を送付し全会派から回答を得ました。

 その回答を元に前回までの記事では、一昨年の区長選挙の際に、現区長の酒井直人氏は「1万人アリーナ計画の全面的見直し」を選挙公報などで訴え、街頭では「サンプラザを守る」と声を上げていたこと、酒井氏当選後はマスコミも「サンプラザ解体見直し」「解体計画は一時凍結」などと報じていたこと、しかし区長に就任してからは、躯体の強度は十分だが内部設備の老朽化が進んでおり、メンテナンスに多額の費用がかかる見通しである現実を見て、今では「1万人アリーナ計画の規模縮小」に軸足を移している経過を追ってきました。

 本稿では前回に引き続き、各会派の回答を分析していきます。

(前回記事)「言うだけ公約」だったのか?サンプラザ解体見直し
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59134

新アリーナのサイズ感は

<質問3>「区長選の争点『1万人アリーナ見直し、サンプラザ解体凍結の是非』について伺います。現在、サンプラザを解体し7000人アリーナの建設が計画されているという話しを聞きました。1万人はダメで7000人はOKの理由がわかりません。この件についてご意見が伺えればと思います」

 以下に、6会派の回答を修正せずに紹介します。各会派の見解そのものを紹介したほうが正しく理解できるためです。「育児支援と防災緑地と平らな歩道の中野を創る会」のみ、直接面接取材であること、次稿で紹介する<質問5>と重複する内容が多いことから本稿では割愛します。

「自由民主党議員団」 取りまとめは、加藤たくま区議。
 区長選挙において、我が会派としては1万人規模のアリーナ建設を是とする立場でした。区長は選挙公約「1万人アリーナ計画の見直し」を実行するため、1万人ではないアリーナを建設することでその責務を果たそうとしているわけです。とはいえ、民設民営で事業を進めることを決定した現在において、アリーナのサイズ感は民間事業者が収益性を重視し、決定すべきものであると考えます。
 1万人アリーナ構想がでてきたときには、JR中野駅からのロケーションからして、アリーナの価値はどこよりも高く評価され、サイズは大きいほど収益が高まると想定されています。また中野駅新北口駅前エリアアリーナ整備官民連携協議会は、スポーツ産業インフラであるスタジアム・アリーナ改革推進に向けて、先進事例の形成支援を目的としたスポーツ庁の委託事業「スタジアム・アリーナ改革推進事業先進事例形成支援」により設置されるなど、注目度は高いものになっております。
 そして現状の中野サンプラザにおいて、区の主催するイベントは成人式のみであり、区民のための施設とはいいがたい状況です。現在よりも大きなアリーナ型にすることでプロスポーツ、展示会、物産展など多様なイベントが開催可能とすることで区民の方々も来場できる機会を創出し、また多くの区外の来場者がアリーナ周辺施設に立ち寄ることが区民、中野区の利益にかなうものと考えます。

「立憲民主党・無所属議員団」 取りまとめは、酒井たくや区議。
 正確には、「7000人アリーナの建設が計画されている」のではなく、着席5000、最大収容人数7000人を上限として民間からの事業提案を公募することが計画されている段階です。中野サンプラザの後継施設となる多目的ホールはあくまでも民設民営で行われるものです。わが会派としても、こうした大規模集客施設の所有に区が関わることとなると長期にわたって区財政に不安定要因を抱えることとなることから、民設民営での整備を求めてきたところです。
 民設民営となると、当然市場性、採算性にも配慮が必要となります。現在の区の方針は、最大収容人数7000人とすることで民間からの事業提案内容に幅を持たせつつ区長公約の「1万人アリーナ見直し」実現に目途をつけたものと理解しています。前区長の頃から比べると一定の前進があると評価しますが、最大7000人にという規模はまだ少し大きいなという感覚もあります。区民会議等で今と同等から3000人程度の規模を求める意見が多かったことにも配慮が必要と考えます。
 今後、民間からどのような提案がくるのか、そしてそれらの提案を審査委員会がどのように評価するのか、公平性・透明性の確保された選定となるのかも含めて注視していきます。

「公明党議員団」 取りまとめは、白井ひでふみ区議。
 7千人規模の収容人数が、事業の採算性が最も高いとの区の説明はあったが、区は明確な収容人数の決定をしておらず、プロポーザルを通し、決定予定である。