(尾藤 克之:コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)
筆者はこれまで、中野サンプラザ解体問題について発信につとめてきました。その取材の意味もあって1月20日(月)に、中野サンプラザ解体問題に関連する「中野駅周辺整備・都市観光調査特別委員会」が中野区議会で開催されたので傍聴してきたのですが、そこでサンプラザ問題とは別の、見過ごせない事実が判明したので、本稿で紹介したいと思います。
筆者が注目したシティプロモーションの取組
区議会では最初に、中野区シティプロモーションの取組状況について発表がありました。区民である筆者ははじめて知ったのですが、中野区では、2年前に「ナカノさん」というマスコットキャラクターを作成して、インスタ、ツイッターで魅力を伝えてく活動をはじめていたようです。
インスタ(instagram.com/nakano_san_desu)が2019年1月に開設、ツイッター(@nakano_san_desu)は2018年12月に開設しています。2020年1月21日時点でインスタのフォロワー数が2489件、ツイッターが3290件であることが確認できました。正直、かないお寒い状況と言えます。
区側からは、「フォロワー数、イイネ、RTを増やすように運営していること」が報告されます。出席している委員からは、「一般的なプロモーションと比較して費用対効果はどうなのか?」という効果測定の質問、「中野区の魅力が伝わっているのか」「区民の声を拾っているのか」という指摘が相次ぎました。
それに対して、「区民が参加できるように適正に運用したい」、さらに、「エンゲージメント率を高めるための努力をしていく」との報告がされました。
委員からは、区民参加のイベントが「47名」であることや、加盟店舗が「19店舗」であることが指摘されました。これは、報告された数に対しての「成果」を求めたものですが、特に具体的な施策や目標数値が掲げられることもなく、報告は次にうつりました。
これらのやり取りを聞いていて気付いたのは、区側がSNSをはじめとするネットマーケティングに精通していない点。運用を業者に丸投げしているので、プロジェクト管理ができていないことが推測できる点です。このプロジェクトの予算は3カ年でかなりの規模(平成30年度当初予算額では約1億461万円、平成31年度当初予算額は約7797万円)のようですが、この金額が事実なら血税をつかった成果としては少々問題があるように思います。