(尾藤 克之:コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)
2019年10月、建て替えが検討されてきた「中野サンプラザ」を含む中野駅前の再開発について、新たな方針が発表されました。中野区の酒井直人区長は「サンプラザのDNAを継承し、デザインや名前についても引き継いでいく」方針を示しています。さらに、中野サンプラザを解体して最大収容人数7000名の多目的ホールなどの施設をつくるとしています。
筆者は中野区民で有権者の1人ですが、この発表には違和感を覚えました。一昨年6月に行われた中野区長選では、中野サンプラザの解体問題が争点になりました。解体を主張していた前区長が敗れ、計画の全面見直しを訴えた酒井区長が誕生します。ところが3カ月後、サンプラザの解体を進めると発表したためです。
筆者は、中野区の小中を卒業し生粋の中野っ子として東中野に住居をかまえ、親族も中野区内に住んでいます。この街で生まれ育った区民として中野駅周辺の再開発計画、特にサンプラザの存続について関心を持っていました。そのため、2020年1月6日付にて、中野区議会全会派に「中野サンプラザ解体に関する公開質問状」を通知しました。
通知内容と詳細について
中野区議会には6つの会派があります。「自由民主党議員団」「立憲民主党・無所属議員団」「公明党議員団」「日本共産党議員団」「都民ファーストの会中野区議団」「育児支援と防災緑地と平らな歩道の中野を創る会」になります。6会派に対して5つの質問を提示し、回答は、直接取材、または会派としての回答を求めたものです。
<質問1>
サンプラザは解体すべきですか、それとも解体せずに残すべきですか?
□建物を解体せずに残すべきである
□建物自体を解体(壊す)べきである
<質問2>
サンプラザが老朽化している議論があります。調べたところ、中野サンプラザの構造自体は200年の耐用を前提に設計されていると、設計者の林昌二氏が言われており、(公社)日本建築家協会も同様の見解を示しています。この件についてご意見が伺えればと思います。
<質問3>
区長選の争点「1万人アリーナ見直し、サンプラザ解体凍結の是非」について伺います。現在、サンプラザを解体し7000人アリーナの建設が計画されているという話しを聞きました。1万人はダメで7000人はOKの理由がわかりません。この件についてご意見が伺えればと思います。
<質問4>
サンプラザ解体の都市計画決定は既になされているため、田中区政時代に都市計画変更に向けて根回しが全て終了し、今更ひっくり返すことはできないため、都市計画決定せざるを得なかったとする議論があります。この件についてご意見が伺えればと思います。
<質問5>
サンプラザ跡地も民間に売り払う理由についてご意見が伺えればと思います。なぜ売るのではなく貸す(定期借地)ではダメなのでしょうか?一度手放してしまえば転売されたりして価値が下がる可能性があります。この件についてご意見が伺えればと思います。
締切りは本質問状の到達から7日以内の回答とし、寄せられた回答は、各会派の見解としてJBpressをはじめ幾つかのニュースサイトに掲載すること。回答を拒否された場合でも事実を公開するので、その前提で回答いただけるように伝えました。