現役証券アナリストが語る、やさしい株式投資のハナシ【第3回】

 資産運用に興味があっても、初心者にとって株式投資のハードルは高いもの。本連載では、現役の証券アナリストが株式投資の魅力や付き合い方をやさしく伝えます。

 前回は株価が動くことによって私たちの生活にも影響があることをお伝えしました。では、そもそも株価はどのようなメカニズムで動くのでしょうか? 今回は株価の動く仕組みについてお伝えしていきたいと思います。

株価の値決めの方法とは?

 株価は取引所で買いたい人と売りたい人の注文を付け合わせて値段が決まります。厳密には日本では「板寄せ方式」と「オークション方式」という方式で値段を決めているのですが、細かい解説は今回は省略します。

 平たく言いますと、売り出される株数より買いが入っている株数が多ければ値段が決まることになります。例えば、A社の株を買いたい人が多ければ値段が上がるというのはすぐにご理解いただけると思います。では、いくらの値段にするのが妥当か?は決まりがあるわけではありません。色々な要素によって左右されるのです。

 例えば、A社の業績が安定していて毎年 100 円の配当を投資家に払ってくれているとしたら、A社の株はいくらで買いたいでしょうか?100円の配当を10年もらえば1,000円になりますし、20年もらえば2,000円になります。

 ではこのA社の株価が200 円だったとすると何となくお買い得な気がしませんか?配当を2年もらえばA社の株をタダでもらったのと同じになりますよね。

 逆にA社の株が 5,000円だったとすると配当を 50 年間もらわないとタダでもらったことにはなりません。でも50年後もA社がきちんと配当を続けているかどうか予想するのは非常に難しいです。ただ、何となく5,000円はちょっと高いなということはわかると思います。

A社の株価と配当

 このように市場の参加者がA社の将来の業績や配当を予想して買い注文を出したり、売り注文を出したりすることによって値段が付いていきます。実際の企業の業績は毎年の利益や配当も上下することも多いので、株価が日々刻々と動いていくのも何となくお分かりいただけると思います。