平成23(2011)年3月11日、東北関東地区を未曾有の大地震が襲った。今、約10万7000人の自衛官がその地震被害と格闘中である。この震災で亡くなられた方々のご冥福を祈るとともに、被災地の早期復旧、そして日本国全体の強靱な復興を切に願うものである。

2つの卒業式

 そのような中、地震発生2日後の3月13日に陸上自衛隊高等工科学校(旧少年工科学校)、続いて3月20日に防衛大学校の卒業式がそれぞれ挙行され、筆者は、その両方の式に参加する機会を得た。

 両式典とも、このような事態に鑑み、卒業生を見送るために最小限の行事に変更して行われた。そして、式を執行した学校長の式辞はもちろん、卒業式に臨席した菅直人総理大臣はじめ各来賓者の言葉の中には、自衛隊に対する感謝と誇りとともに、卒業後自衛官となる卒業生に対する期待の言葉が随所にちりばめられていた。

 卒業生は等しく、卒業の喜びと同時にこの事態に対する緊張感、そして何よりも生涯の職業として選択した自衛官という使命の重さを、より一層強くしたものと感じられた。

 一方において、高等工科学校5人の依願退職者、防衛大学校12人の任官拒否者は、この卒業式にどのような思いを抱いただろうか。

任官拒否者と償還金の議論

 例年、防衛大学校の卒業式に当たっては、任官拒否者が何人出たかが報じられる。そして、その者に対しては、学費を償還させるべしとの声も少なからず存在する。

 事実、最近の事業仕分けにおいてもこの問題が表出し、学校長以下それに抗する説明を行ったようであるが、方向性としては、自衛官としての義務年限の設定と義務年限内の退職者には償還金を課する。

 その額面は詳らかではないが、仄聞するところでは勤務年数に応じて最高数百万の単位だという。加えて、現在無料である受験料まで徴収するという驚くべき結論に達したようである。

 その論拠は、国家の予算により幹部自衛官になるための教育を受けたにもかかわらず、その任に就かないものに対しては、その経費は当然償還すべしというものである。

 ちなみに、同じく医官として幹部自衛官となる防衛医大生にあっては、卒業後の自衛官としての義務年限が9年間、それに満たずに退職する者(卒業生の約3分の1という)に対しては、勤務年数に応じて最高5021万円の償還金が制度化されていることとの対比論もある。