企業ではなく、国に投資するという考え方
そこで皆さまにぜひ知っていただきたいのが、「企業ではなく、国に投資する」という考え方です。
「国に投資をする」とは、これまたどういうことなのでしょうか?
それは、「国の経済成長に託す」という意味なのです。
では、国の経済成長と株式って、いったい、どんな関係があるのでしょうか?
国の経済成長、国の経済の伸びは「GDP(国内総生産)の伸び」で表すことができると思います。以下、筆者の私見を述べます。私見ですから、経済学の教科書とは視点が異なると思います。
ここで、国の経済(GDP)を3つに分けて考えてみます。「政府」・「企業」・「家計」です。
政府、つまり公共事業は、日本においてはGDPのうち2割程度を占めますが、年によって増えたり減ったりするもので、国の経済成長に貢献するものではありません。
国の経済成長に大きく貢献しているのは企業です。企業が挙げる利益こそがGDPであり、企業の成長こそが、GDPの伸びというのが筆者の考え方です。
そうです。「国の経済成長(GDPの伸び)に託す」とは、「(その国の)企業の成長に託す」と同じことであり、「(その国の)企業の成長に託す」こと、すなわち株式投資ということになるのです。
企業の成長を支えるのが家計
では、企業の成長を支えているのは?
やはり、政府ではありません。企業を支えているのは、実は家計なのです。
家計は2つの側面で、企業を支えています。まずは労働力の提供です。企業で働く従業員のことですよね。
ついで、消費です。お食事をしながら本稿をご覧になっていらっしゃる読者の皆さん。皆さんが召し上がっているお食事は、企業が経営しているお店から食材を買ったのではないでしょうか? あるいは、お食事をなさっていらっしゃるお店も企業が経営しているのではないでしょうか?
ここで一つの気づきを得た読者の方もいらっしゃるのでは?
投資先は日本だけではない
勘の鋭い読者なら、「企業の成長を支えているのは家計なら、日本はダメじゃない?」と気づかれたのではないでしょうか?
そうです、日本は人口、すなわち企業の成長を支える「家計の数」が減っているから、ということですね。
日本で生活し、日本で働いているからと言って、投資する先を「日本だけ」に絞ることはないですよね。
「投資する国」の選び方
以下の表はIMF(国際通貨基金)が季節ごとに発表している「世界経済の見通し」から抜粋して作成したものです。国や地域ごとにGDPの伸びを発表しています。
この表が「投資先選び」の参考になるのではないでしょうか?
「お金の価値を維持する」ための投資のリターンのお話を思い出していただけますでしょうか?
前稿では、「お金の価値を維持する」ための投資リターンとして、「日本銀行のインフレ目標」である2%を挙げました。
ということは、上のIMFの表から、GDPの伸び率が2%以上の国や地域を探して選べば良い、ということが言えるかもしれません。
「国への投資」の2つの課題
が、しかし。実は、事はそう単純ではありません。2つの課題があります。
課題の1つ目として。実は企業の成長とGDPの伸びは、完全にイコールではありません。
課題の2つ目として、そもそも「国への投資」はどのように行うのか、という点です。だって、「日本」とか「アメリカ」とか、国の名前で東京証券取引所に上場しているわけではありませんからね。
じゃあ、どうしたらいいの?
ということで、次回は「課題の2つ目」を考えてみたいと思います。
お待ちかね。いよいよ、投資の具体的なお話に入っていきます。