福島第一原発の爆発事故が起こって以来、中国政府は「中国の原発は安全だ」と声高に叫ぶようになった。しかし、過半数の国民はそれを信じてはいない。

地下鉄の駅構内で、枝野官房長官の発言を食い入るように見る上海市民

 中国の「環球網」が行ったネット調査では、こんな結果が明らかになった(4月8日時点)。「中国の原発の安全性を信用しますか」との問いに、全体の65%(3857票)が「信じない」と回答した。また、「内陸での原発建設に賛成しますか」という質問には、63%(3724票)が「反対」と答えた。

 中国では現在、13基の原発が稼働中であり、1000万キロワットを発電している。そして25基が建設中であり、さらに政府が批准した原発は34基。これらを合わせると6465万キロワットの発電量となる。

 中国は、2020年までには7000万キロワットを発電し、原発の占める総電力量の割合を現在の2%程度から7%に引き上げたいとしている。

 「世界一のCO2排出国」という汚名を着せられた中国にとって、CO2排出量を抑えつつ将来的な電力需要を満たせるのが原子力発電である。

 中国政府は福島第一原発の事故を受けて「新たな原発計画の審査・承認を一時中止する」としたものの、原発推進という方向性に変わりはない。学識経験者らも、「開発のスピードは落ちるだろうが、原発以外に選択肢はない」という見方だ。

連日叫ばれる「中国の原発は大丈夫」

 今、中国では「中国の原発は大丈夫だ」の大合唱が連日のように繰り広げられている。新聞、雑誌でもインターネットでも、目にするのは以下のような一本調子のアナウンスだ。

「中国の技術は先進的だ」
「中国の原発に問題が起きるわけがない」
「そもそも中国の原発は、地震が起きる場所にはない」