株式会社MyRefer(マイリファー)は2019年10月、20代~50代の人事担当者、を対象に実施した「人事の本音調査」の結果を発表した。この調査は、全国の22歳~59歳の人事担当者417名(男性191名、女性226名)を対象に、インターネット調査で実施された。調査期間は2019年9月20日~30日。全国的に有効求人倍率の上昇が続く中、企業の人事担当者の役割は年々重みを増しているが、現場はどのような悩みを抱えているのだろうか。リファラル採用の導入の課題や人事担当者たちの本音を探る。
人事担当者が抱える悩みは「直近の採用課題」「中長期的な課題認識」
まず、「人事の仕事について感じていることはなにか」と質問したところ、「これまでの採用手法では応募数が集まらない」と回答した人が48%と最多となり、直近の採用に関した課題を抱える人が多いことが分かった。
また、43%の人が「会社の本質的な課題まで考えなければならない」と回答しており、人事担当の領域を超えて、中長期的な経営戦略といった視点での業務遂行を求められることについても悩んでいることが明らかとなった。
リファラル採用に関心を示す企業は約7割
採用に課題を感じる企業が多い中、社員が知人・友人を紹介して選考につなげる「リファラル採用」が新しい採用手法として注目を集めている。「リファラル採用について自社にあてはまるもの」にいう質問では、「導入している」が30%にのぼり、「導入予定」(12%)、「検討中」(23%)を含めると、65%の企業がリファラル採用に関心を持っていることが分かった。
しかし、2割以上の企業で検討はしているものの、導入には至っていないことも明らかとなった。理由には「社内エンゲージメントが優先されるから」(56.4%)、「社内の協力が得られる気がしない」(36.4%)などが挙がっており、本格的な導入を前に、人事担当者は社内エンゲージメントや社内の協力体制に対し不安を抱えていることも窺える。
必要なのは経営メンバーやマネジメント層のコミットメント
実際にリファラル採用を導入している企業に対し、「成果が出ている理由」について尋ねると、「一般社員が協力的」と「部課長などのマネジメントメンバーが協力的」がともに60%、次いで「自分自身が会社を進めたいと思うので積極的に推進できる」と「社長および経営メンバーが協力的」が42%となり、一般社員や人事担当者自身の会社へのエンゲージメントの高さと上位役職者の協力度合いが、リファラル採用の成果に対して大きな要素を占めていることが分かった。
人事担当者の役割が多岐に渡る中で、企業の組織力を中長期的に高めていくためには、採用のみならず社員の定着やエンゲージメントを向上させるなどして、いかに効率的に優秀な人材を採用できるか重要な鍵となるだろう。
さまざまな採用課題を解決する一つの手段ともなるリファラル採用の導入にあたっては、経営陣やリーダークラスが積極的に組織全体をけん引して、社内の協力体制の構築を行うことが求められる。
著者プロフィール HRプロ編集部 採用、教育・研修、労務、人事戦略などにおける人事トレンドを発信中。押さえておきたい基本知識から、最新ニュース、対談・インタビューやお役立ち情報・セミナーレポートまで、HRプロならではの視点と情報量でお届けします。 |