派手さはないが利益は見込める「安定成長企業」

福沢 隆雄福沢 隆雄
若葉マークの株式投資 代表

 上場企業は、全国で約3,700社あります。この中には、東証1部市場にみられる歴史のある大企業から始まって、新興市場の小規模の会社までたくさんあります。

 株式投資の初心者は投資対象を「安定成長企業」としましょう。安定成長企業とは、利益が持続的に安定していて成長する企業です。株価変動も少ないことから派手さがなく面白みがありませんが、安定して成長している企業のため、株式評価がしやすい投資対象です。

 以下、安定成長企業の特徴と選び方について説明します。

安定成長企業の要素
  • 安定成長企業は、倒産する恐れが少なく安定しており、利益が出て、成長が見込まれる企業です。
  • リスク(株価変動など)が比較的に少なく、初心者に最適な投資対象です。

安定性・収益性・成長性のある企業収益のイメージ
1株当たり利益が過去おおむね順調に伸びており、今後も同様に成長が見込まれる企業の例(初心者向け)

安定性・収益性・成長性のある企業収益のイメージ

【参考】安定性・収益性・成長性に疑問のある企業収益のイメージ
1株当たり利益の変動が大きな企業の例(初心者は避けましょう)

【参考】安定性・収益性・成長性に疑問のある企業収益のイメージ

(注)初心者は、「安定性・収益性・成長性」に欠ける企業は避けましょう。例えば、1株当たり利益が毎年大幅に変化する企業、黒字と赤字を繰り返す企業などです。こうした収益変動の大きな企業は、企業価値の評価がむずかしく、株価変動も大きくなります。

具体的な銘柄選定

 会社四季報などをみて、1株当たり利益(EPSとも呼ばれます)が毎年おおむね順調に上昇している企業を選びましょう。

 また、初心者向けの投資対象として「JPX日経400銘柄」が参考となります。この銘柄は、JPXグループ(日本証券取引所および東京証券取引所)と日本経済新聞社が2014年から公表している新たな株価指数に含まれる企業です。企業資本の効率的活用や株主を意識した経営など、グローバルな投資基準で選定された日本を代表する企業であり、この中に安定成長企業がたくさんみられます(検索サイトで「JPX日経400銘柄」と検索ください)。

初心者の避けるべき株式

 初心者は「急騰銘柄、テーマ株式、新興市場銘柄」を避けましょう。こうした銘柄は、一時的に人気となる銘柄で株価変動が大きく、たくさん儲かる時もありますが、損も大きくなります。これらは、投資の経験を相応に積んでからにしましょう。

初心者の避けるべき株式① 急騰銘柄

 新製品開発や企業業績の変化などのニュースやうわさなどで短期間に株価が急騰する銘柄があります。

 例えば、研究時点で発表された新商品の開発などでは、期待を込めた株価になることがあります(業績面の裏付けのない株価)。

 そこでは、株式を買うから株価が上がる、株価が上がるから株式を買うことによりさらに株価が上昇します。また、株価が急騰すると「早く買わないと乗り遅れてしまう」と株式の買い付けが行われます(飛びつき買い)。しかし、急騰銘柄に飛びついて買ったものの、株価が急速に下落して売ることもできずに塩漬けになる方が大勢います。

初心者の避けるべき株式② テーマ株式

 話題になっている注目銘柄のことで、株式市場では「○○関連銘柄」として話題になることがよくあります。

 テーマとは、注目される新技術や、社会問題に関連する銘柄です。例えば、人工知能、オリンピック関連、カジノ関連などです。ニュースなどをきっかけとして急速に株価が上昇するのですが、株価下落も急速です。多くの場合、テーマ(話題)で株価が上昇するもので、株式買い付けの根拠(投資企業の価値の評価)が乏しいものです。このため、株価の高騰も一時的となります。

初心者の避けるべき株式③ 新興市場銘柄

 新興市場とは、創業して間もない企業や、実績が十分でないベンチャー企業が上場できるよう創設されたもので、東証マザーズ市場などがあります。新興市場銘柄は今後の成長が期待できる反面、業績の安定性に欠ける企業も含まれています。また、会社の規模が小さいため株価の変動が大きくなる傾向があります。

 次回は安定成長企業を見つけるためのポイントについて詳しく説明したいと思います。

第4回 「安定成長企業」の見つけ方は?
第2回 株式(Stock)と渋沢栄一