(城郭・戦国史研究家:西股 総生)
石垣のパターンは6種類
城に興味を持ち始めて最初のうちは、石垣はどれも同じに見えるかもしれません。でも、よく見ると石垣にはいろいろなタイプがあります。石垣の違いと、違いを生み出す原理とがわかるようになると、城造りにおけるイノベーションが見えてきます。
まず、採ってきた石を、そのまま積み上げたものを「野面(のづら)積み」といいます。次に、採ってきた石の表面や、合わせ目になる所を打ち欠いて、ある程度形を整えてから積んだものが「打込みハギ」。さらに、ブロックのように形を四角く整えて積み上げたものを「切込みハギ」と呼びます。かなり整然とした印象になりますね。
それから、大小の石をランダムに積むやり方を「乱(らん)積み」。段ごとに石のサイズをそろえて、横に目地が通るようにしたものを「布(ぬの)積み」と呼びます。これに、先ほどの野面積み・打込みハギ・切込みハギを組み合わせると、6つのパターンができますね。なので、城を歩きながら「これは野面積みで乱積み」「お、打込みハギの布積みだな」などと当てはめてゆくと、知的パズルが楽しめます。