「一言で言えば、日本も韓国も、完全な独立国ではないということだ」
「青瓦台」(韓国大統領府)の金有根国家安全保障室第一次長が、11月22日午後6時から、「8月23日に日本に対して行ったGSOMIA(軍事情報包括保護協定)協定終了の通告を停止する」と発表した。その苦々しい表情と、わずか数分で終わらせた会見に、この決定が「青瓦台」の本意ではなかったことが窺えた。
日本も韓国も「宗主国」には逆らえない
今月に入ってから、日韓GSOMIAの終了は、もはや既定路線と思われてきた。それは、文在寅政権の態度が頑なだったためだ。
それだけに、GSOMIA失効6時間前の韓国政府の発表は、意外に思えた。そこで同日晩に、日本政府関係者に電話したら飛び出したのが、冒頭のコメントだった。その言わんとするところは、「日本も韓国も、『宗主国』であるアメリカの意向には逆らえない」ということだ。
思えば、前任の朴槿恵政権との間で「修復不能」と言われた慰安婦問題で、4年前の暮れに日韓合意に達したのも、アメリカの強力な「圧力」によるものだった。
2015年9月3日、朴槿恵大統領は、西側諸国の国家元首として唯一、習近平主席が主催した「中国人民抗日戦争勝利70周年記念軍事パレード」に参加。天安門の楼上から人民解放軍のパレードを閲兵した。
これにブチ切れたのが、バラク・オバマ大統領だった。「韓国はアメリカの軍事同盟国ではなかったのか?」というわけだ。当時の米中関係は、南シナ海とサイバーテロの問題で対立を深めている最中で、同月ワシントンで行われたオバマ・習近平会談は、完全決裂に終わった。