テンペ警察によって提供された、衝突する前のマウントカメラの映像。2018年3月(提供:Tempe Police Department/AP/アフロ)

 米ウーバーテクノロジーズの自動運転車が昨年(2018年)起こした歩行者死亡事故についての調査結果をこのほど、米運輸安全委員会(NTSB)がまとめた

5.6秒前に検知も歩行者と認識せず

 事故は2018年3月18日夜にアリゾナ州テンピで起きた。試験走行をしていたウーバーの車両が、自転車を押して道路を横断していた女性をはねて死亡させた。運転席にはオペレーターがいたが、車両は自動運転システムで走行中。時速63キロメートルで女性にぶつかった。

 システムは衝突の5.6秒前に女性を障害物として検知し、その動きを追っていた。しかし、それが歩行者だと正確に認識することはできず、進路の予測もできなかったという。

 ウーバーは、スウェーデンのボルボ・カーズが製造したSUV「XC90」に自社システムを組み込んだ車両で試験走行していたが、このボルボ車に搭載の衝突警告システムや自動非常ブレーキシステムは解除されていたという。

直接的な原因はオペレーターの怠慢

 NTSBは、この事故の直接的な原因は、運転席にいたオペレーターの職務怠慢だと報告している。オペレーターは、道路状況や自動運転システムを注意深く監視していなければならなかったが、走行中は終始、自分の携帯電話に視覚的に気を取られていたという。

 オペレーターが注意を払っていれば、歩行者をいち早く発見し衝突を回避できた、あるいは衝突の影響を軽減できたと指摘している。