1月29日、麻生首相が施政方針演説の中で、次のように語りました。
「医師不足など地域医療をめぐる問題に対しては、医師養成数を増員し、勤務医の勤務環境を改善します。救急医療も、消防と医療の連携などにより、患者を確実に受け入れられるようにします」
そして、最後にこう結びました。
「今こそ、政治が責任を果たす時です。(中略)私は、自由民主党と公明党の連立政権の基盤に立ち、新たな国づくりに全力を傾注してまいります。私は、決して逃げません」
麻生首相の言葉は大変力強いものです。それでも、私はちょっと不安になりました。麻生首相は、「私(政治)」の力で「患者を確実に受け入れられる」医療が実現できると思っているのでしょうか。
保険点数表に存在しない “経鼻胃内視鏡検査”
人気漫画『エンゼルバンク-ドラゴン桜外伝-』(三田紀房著、講談社)の一節に、転職代理人の海老沢康生が次のように語る場面がありました。
「よくいるんだよね、世の中を変えるっていって政治家を目指す人が・・・政治家になっても世の中は変えられないよ。世界を動かすのは政治家じゃなくて、サラリーマンなんだよ」。そしてこう続けます。「この国を大きく変えるのは、政治ではなく、企業などが作る社会のルール(慣習・制度)だ」
例えば、アップルという一企業(ひいてはそのアップルの従業員たち)が作った音楽プレイヤー「iPod」。政府が購買奨励の補助金を出したわけではありませんが、使う人が爆発的に増え、音楽の販売形態まで一気に変えてしまいました。
そして、それに遅れる形で関連法案(販売価格への著作権料の上乗せなど)が審議されたわけです。そういう風に企業が作った慣習が政治を変えて、さらには国を変えていくということです。
同様に、病院やクリニック(日々の現場)で作られる制度や慣習が国の医療を大きく変えていくことも十分にあり得ると思うのです。
急速に導入施設が増えている胃の検査方法に、従来の口からではなく鼻から行う「経鼻胃内視鏡検査」というものがあります。内視鏡自体がものすごく細く、のどの奥をカメラが通過するので舌根に胃内視鏡が触れません。そのため、嘔吐反射(「ウエッ」という反射)がほとんど起きない、楽チンなタイプの胃カメラです。