事業者が注意すべき6つのポイント

1.健康情報について
「雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項」では、次に例示する健康情報を挙げています。事業者はこれらに留意して、事業場の状況に応じた取扱規程を策定することが求められています。

(1) 産業保健スタッフが労働者の健康管理を通じて得た情報
(2) 健康診断の結果
(3) 長時間労働者や高ストレス者に対する面接指導の結果
(4) 健康診断や面接指導の結果に基づく医師から聴取した意見や就業上の措置の内容
(5) 保健指導の内容
(6) 健康測定の結果
(7) 欠勤や休職の際に労働者から提出された診断書

2.利用目的の特定と通知方法
 利用目的は、「事業の用に供する」といった抽象的な内容では足りず、労働者の健康管理や就業上の措置などを実施するとの目的をできる限り具体的に特定しなければなりません。目的を通知する例として、本人確認をした上で面談や電話で口頭により伝達する、遠隔者には文書を郵送する、常時使用している電子メールアドレスにメールを送信するなどの方法があります。指針は、「健康診断の事業者等からの受診案内等にあらかじめ記載する」とも例示していますので、利用目的とともに通知方法の例を取扱規程に定めておくことが必要です。

3.健康情報取得時の本人同意
 健康情報を取得するには、法定の例外を除き、あらかじめ本人の同意を得なければなりません。このことを明記すると、労働者の不安を払拭できるでしょう。同意を得る例として、同意書に署名押印させる、ウェブサイト上の同意欄ボタンを設定してクリックさせるなどの方法があります。同意を明確化するためにも、事業者は、原則として労働者本人から直接交付を受ける方法で取得した方がよいでしょう。

4.健康情報の適正な取扱いのための体制整備
 健康情報を取り扱う体制を整備しつつ、部署や職種ごとに、その権限や責任、役割分担、取り扱う健康情報の範囲を取扱規程に定めます。一般的に、事業場内に産業医や保健師などがいればその者が一元管理し、医療職がいなければ衛生管理者(または衛生推進者)を情報管理の担当者に指定します。担当者には守秘義務を課すことも明記した方がよいでしょう。

5.健康情報の取扱いと適正管理の方法
 事業者は、法定の例外を除き、あらかじめ労働者本人の同意を得ないで、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて健康情報を取り扱ってはなりません。また、利用目的の達成に必要な範囲内において、健康情報を正確かつ最新の内容に保つとともに、労働者が退職して一定期間が経過した場合など利用の必要性がなくなったときは、遅滞なく消去するよう努めなければなりません。消去する際には、紙はシュレッダーに掛ける、記録媒体を破壊するなどの措置を講じ、消去時に情報漏洩が起こらないようにする必要があります。以上のような内容を取扱規程に盛り込むとよいでしょう。

6.健康情報の第三者提供
 事業者は、法定の例外を除き、あらかじめ労働者本人の同意を得ないで、第三者に健康情報を提供することはできません。同意を得たとしても、第三者提供をするに際しては、第三者の氏名、提供の年月日、本人の氏名、健康情報の項目等を記録することを取扱規程に定める必要があります。

労使でつくる「健康情報取扱規程」、50名以上の事業場には委員会設置義務も

 指針は、「取扱規程の策定に当たっては、衛生委員会等を活用して労使関与の下で検討」することを求めています。常時50名以上の労働者を使用する事業場においては、労使で構成される衛生委員会において規程内容を審議することも必要です。従業員側の意見を反映することで労働者の不安を払拭させながら運用していく必要があります。

 衛生委員会設置義務のない事業場であっても、労働安全衛生規則は労働者の意見を聴く機会を設けることを求めていますので、全従業員または職場単位で集会を開催する、労使同数で構成するタスクフォースを設置するなどの方法により、従業員参加型で取扱規程を作り上げることが望ましいとされています。

 取扱規程の周知方法として、「就業規則その他の社員規程等により定め、当該文書を常時作業場の見やすい場所に掲示または備え付ける、イントラネットに掲載を行う等の方法」を例示していますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

「事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き」
https://www.mhlw.go.jp/content/000497966.pdf