(姫田 小夏:ジャーナリスト)
10月14日、中国の金融情報紙『上海證券報』は、中国政府がマカオ証券取引所の設立案に向けた研究を進めていることを報じた。人民元建て決済の証券取引所をマカオに設立するという計画で、中国政府が進める一国二制度のもと、香港やマカオを中国の発展に取り込む「広東・香港・マカオビッグベイエリア構想」に位置付けられている。
マカオ証券取引所について今のところ具体的な公式発表はないが、広東省地方金融監督管理局は「中国版ナスダックになれば」という希望を伝えている。広東省には4万5000社のハイテク企業があり、上場企業は1.8%程度にとどまっているという。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)および米ナスダック市場には150以上の中国企業が上場している(2019年2月時点)。だが9月末に、トランプ政権が米株式市場での中国株の上場廃止を検討しようとしていると伝えられたことから、米国株式市場が下落した。米中貿易戦争が長期化すれば、ホワイトハウスの“くしゃみ”で中国銘柄が暴落する懸念が増す。
浙江省に拠点を置く新興企業の経営者、汪建民さん(仮名)は「“中国版ナスダック”を進めるのは“自前主義”の強い現れ。香港の機能低下を見越して、中国政府の意向に従うマカオをテコ入れするのではないか」と語る。
ファーウェイとアップルが新機種で激突
10月上旬に訪れた上海では、スマホの新機種がしのぎを削っていた。中国信息通信研究院によれば、国産メーカーなどを含め、9月は前月の2倍に相当する90の新モデルが登場したという。